南木曽町をめぐる日程が押しに押したため、読書発電所の調査をあきらめた我々は、妻籠宿の音吉さんでおいしい特別御膳 (揚げたての天ぷらが最高でした) をいただいた後、旧中山道沿いの、ある滝を目指しました。


 男滝 (おだき) 、女滝 (めだき) です。 (国土地理院の地図では、雄滝、雌滝と書きます。)


 妻籠宿を出て、飯田方面に向かうと、大妻籠に向かう三叉路が見えてきます。ここを曲がり、大妻籠の風情を味わってもよし、さらに進んで大橋を曲がってもよし。


 どちらかを右に曲がり、馬籠宿に向かう峠のくねくね道を3キロほど上ると、道の左側に案内板と「滝見茶屋」が見えてきます。

木曽路名水探検隊のブログ-案内板  木曽路名水探検隊のブログ-滝見茶屋
         案  内  板                     滝 見 茶 屋


 ここから見下ろしたところに男滝、女滝があるのです。


 この滝見茶屋、現在では人の気配すら感じませんが、滝側に向かい、座敷を設けたであろう造り。昔はさぞかし賑わったことでしょう。


木曽路名水探検隊のブログ-滝見茶屋2


 ここから先は、かなり急ながら、しっかりとした遊歩道を降りていきます。


木曽路名水探検隊のブログ-遊歩道


 男滝、女滝は、吉川英治の小説「宮本武蔵」の舞台になった滝。


 ここはひとつ、宮本武蔵になったつもりで…


<宮本武蔵>


 武蔵は江戸へ向った。


 ……「木曽で一番の難所、馬籠峠へかかりだしたのだ」


 ……滝の音を心当てに、細道を分け入っていくと、滝つぼの崖の上には、人もいない滝見小屋があり、辺りには、霧に濡れた草の花が一面に咲き乱れていた。


 「……武蔵様」


 お通は立て札を見て、その目を武蔵に移してほほえんだ。女男 (めおと) の滝とそれは読まれた。


 大小二すじの滝が一つの渓流へ落ちている。やさしい方が女滝とすぐわかる……


                                      -吉川英治「宮本武蔵」より-


 いつも涼しげで、やさしい方が女滝……のはずが、この日はそうでもありませんでしたw


 降り続けた雨は、ダムの放水よろしく、轟音をとどろかせ、女埵(めたる)川に流れ込んでいます。


木曽路名水探検隊のブログ-女滝1  木曽路名水探検隊のブログ-女滝2


 そして、これが二年前に撮った写真。


木曽路名水探検隊のブログ-二年前

 普段の女滝は、細くスマートに流れ落ち、また、滝つぼ周辺が広いため、子どもたちが水遊びをするのにうってつけの場所。


 でも、今日はちょっと怖いな。


 雨降りとはいえ、見事に表情を変えてしまうところも、また女性らしい一面と言えるのでしょうか。


 これだけ女滝が激しいのなら、男滝は如何に。かなり激しいことになってます。 (男滝に続く) (momo)