山岳信仰の聖地、御嶽への登山口は王滝、黒沢、開田と3つある。
新滝、清滝は王滝口コースにあるたいそう立派な滝だが、古くから整備されている黒沢口コースにだって、
行者が精進潔斎の水行をするような滝があるんじゃないか?


そう思った我々は、木曽町三岳から白川をさかのぼる道を進んだ。
すると、目に飛び込んできたのは「日の出滝」というバス停。



木曽路名水探検隊のブログ-バス停


車を止めて、標識に従って15歩進むと全面結氷した滝の姿が、



木曽路名水探検隊のブログ-日の出滝    ううぅ・・・・・小さい。


高さは3mほどだろうか。引きで見るとこんな感じ。


木曽路名水探検隊のブログ-日出講

いやいや、もっと立派な滝がきっとある。

車に乗り込み、更に上を目指す隊員一行。



すぐさま鳥居を発見、向かいの建物には「四合目大祓滝」の文字が見えた。


 木曽路名水探検隊のブログ-鳥居     木曽路名水探検隊のブログ-看板


おおはらいと言う位だから、身に付いた不浄なものを洗い流す大きな滝があるのではないか。
そんな期待に胸躍らせながら、石段を上った先にあったのは、これまた小振りな滝。


木曽路名水探検隊のブログ-おおはらいの滝


ややガッカリしながらも、石段を上った直後だけにバクバクした心臓はなかなか収まらない。
妙に愛着を感じる傍らの霊神碑を見ながら、流れ落ちる水音を聞いて心を休める隊員たちであった。


木曽路名水探検隊のブログ-霊神碑




さらに車で上を目指すと、程なく左手に道場が、そして右手には「松尾滝」と書かれた鳥居が建つ。



木曽路名水探検隊のブログ-松尾滝の鳥居



階段を上っていくと、般若心経を唱える人の声が聞こえてきた。
この寒空の下、水行に励む行者様を拝めるかと思って近づくと、2人の信者が滝の横でお経を唱えていた。


松尾滝は高さ5m位。全面結氷しており、姿かたちがなかなかよろしい滝だ。



木曽路名水探検隊のブログ-松尾滝



これまで見てきた3つの滝は、どれも水行をするためにつくられた人工の滝だという。



「日の出滝」は美濃の有力講社であった日の出講がつくり、

「松尾滝」は信州上田の松尾講の開作行者の先導で開かれたもの。

「大祓滝」は東京日本橋魚河岸の浦兼吉が明治45年から大正14年まで、15年の歳月と莫大な費用を投じてつくったものであるという。



夏場には、これらの滝で身を清め、霊峰を遥拝する善男善女が多く集うのだろう。



御嶽信仰がいかに全国各地に浸透していたかを垣間見た想いである。(T)