我が隊の11月の探検は、紅葉を中心目標に据えて木曽南部を巡ることに。このところの冷え込みで紅葉もめっきり進み、「ひょっとするともう遅いのでは」という心配もないわけではありませんでした。


 例によって探検日のこの日はどんよりと雲が垂れ込め、いつ降り出してもおかしくない空模様でしたが、今に始まったことではありません。気を取り直して探検に出発する隊員たちでした。


 最初の探検場所である関西電力上松発電所を後にした一行は、昨冬に一度探査している上松町の「隠れ滝」に向かうことにしました。前回の調査に参加できなかった隊員のための計らいです。


 昨冬の探査 では相当苦労して目的地にたどり着いたようですが、前回参加した隊員の案内で、今回は難なくたどり着くことができました。木曽川右岸道路の、その名も「かくれ滝トンネル」手前のガードレールの切れ目から車を進入させ、しばらく進むと右手に河床へと続く道があります。そこで車を降り、歩いて目的地へ。

木曽路名水探検隊のブログ-隠れ滝5  木曽路名水探検隊のブログ-隠れ滝1


 川原に出ると、ゴロゴロ転がっている大きな花崗岩を乗り越えながら下流へと進み、やがて右手前方の岩崖の奥に滝の姿が。岩壁伝いに二筋の流れが岩肌を下る、それほど大きな滝ではありませんが、川原に下りて回り込まなければたどり着けない嶮岨な場所にあることもその神秘さを深めているのでしょう。この滝には、悲しい言い伝えがあるそうです。

木曽路名水探検隊のブログ-隠れ滝6  木曽路名水探検隊のブログ-隠れ滝2



【隠れ滝のお姫様伝説】

 昔むかしのことじゃった。この辺りの村の村人が山へ薪を採りに行くと、何とも雅で美しいお姫様がこの地へ逃れてきたそうな。お姫様は村人にわけを話し、小判と引きかえにかくまってほしいと懇願したそうじゃが、後難を恐れた村人は小判だけを取り上げて立ち去ってしもうた。お姫様は仕方なく山道を逃れ、滝の傍らに身を隠したのじゃが、ついに追手に見つかってしもうた。進退窮まったお姫様は、滝に身を投げてしもうたそうな。それからというもの、この滝を誰言うともなく「隠れ滝」と呼ぶようになったそうじゃ。

木曽路名水探検隊のブログ-隠れ滝4


 何となくどこかで聞いたようなお話です。


 それはさておき、よく見ると滝の近くの岩崖の壁面に鋲というか犬釘というか何やら金具が打ち込まれ、その先から紐が伸びているところもあります。長野県山岳総合センターの資料 によれば、これは高校生の練習用に開拓したロッククライミング用の岩場とのこと。興味のある方は登攀してみてはいかがでしょか。

木曽路名水探検隊のブログ-隠れ滝7


 さて、前回の探査では近くの山の中腹に不憫なお姫様を祀ったと思しき祠を調査しています。今回もその祠にお参りし探検の無事を祈ろうということになり、件の隊員の道案内で近くの林道を上りはじめました。ところがそれらしきものはついぞ見当たりません。引き返して今度は入念に路傍を調べます。「確かにこの辺りだったはず」と隊員は車を降りて藪の中に分け入り調査。そこには、何かが置かれていたことを物語る礎石が残るばかりでした。い、いったい、祠はどこへ!? 一行の前に新たな謎が立ちはだかるのでした。(aki

木曽路名水探検隊のブログ-祠の跡!?



(蛇足)相も変わらず芸のないタイトルですみません。



【補遺】

 調べてみると、「隠れ滝」と名の付く滝はほかにも結構あるものですねぇ。


 奈良県吉野郡上北山村にあるという「隠れ滝」は、落差100m級で何とも圧巻。


 「日本の滝百選」の1つ、三重県熊野市紀和町にある「布引の滝」の近くにも、落差17mの「隠れ滝」があるとか。「布引の滝」と言えば、神戸市のも有名ですよねぇ。


 その神戸市の布引の滝の近くには、「五本松かくれ滝」という滝があるそうです。何でも布引五本松堰堤の建設によって生まれた滝だそうで、放流のあるときだけ「出現」するとか。それにちなんで「かくれ滝」と命名されたそうです。この布引五本松堰堤は、明治33年(1900年)に完成したわが国初の重力式コンクリートダムで、国の重要文化財や近代化遺産にも指定されているとのこと。


 そのほかにも、石川県白山市の河内千丈温泉の近くにも「隠れ滝」があるとか。探せばまだまだ出て来るかもしれません。