「あいばし亭 」で腹ごしらえをした探検隊一行は、次なる目的地、御嶽山麓に広がるそば畑 を目指します。


 そば畑が広がる開田高原西野地区へは、国道361号を通るルートと、柳又原を迂回するルートがあります。国道は山ひだに沿って設けられているので、急カーブが連続する比較的険しいルートとなっており、これを敬遠して柳又原に下り、県道を経由して西野に向かう人も少なくありません。


 我が探検隊は、「探検」の名に恥じないためにも、国道を経由するルートに針路を取りました(それほどのものでもありませんが)。


 山肌に沿って道なりに曲がりくねりながら進み、そろそろ坂を上り終えたと思しきあたりに差し掛かると、路肩を広く取った見晴らしの好い場所に出ます。ガードレールの前に立つと、眼前には柳又原が広がり、その先には御嶽山が雄大にそびえる、正に絶景ポイント。

木曽路名水探検隊のブログ-九蔵峠からの眺望


 この日はあいにく御嶽山は雲の中でしたが、天気の好い日のこの九蔵峠からの眺望はとても素晴らしいそうです。また、「信州サンセットポイント100選」の1つに選ばれていますので、夕日を見に行っても好いでしょう。


 ところで、峠からの見晴らしにばかり見とれがちですが、振り返るとこんな崖になっています。

木曽路名水探検隊のブログ-九蔵峠の褶曲


 携帯のカメラだったのでうまく撮れませんでしたが、これは「チャートの褶曲」なのだそうです。「チャート」と言えば、昔、「チャート式」という参考書のシリーズがあって、ずいぶんお世話になったものですが、その「チャート」は海図のこと。くもの巣グラフも「レーダーチャート」なんて言いますが、それでもなくて、岩石の一種の「チャート」。海中の動物の殻や骨片が海底にたい積してできた岩石だとか。大昔、この辺は海底だったんですね。


 そのチャートの地層が隆起の過程で圧力を受けて曲がりくねったのがこの褶曲とのこと。何でもこのチャートはとても硬い岩石で、黒曜石などとならんで石器の材料としてよく用いられたのだそうです。


 現に、ふもとの柳又原には「柳又遺跡」という旧石器時代の遺跡があって、この辺で採れた黒曜石やチャートを材料にして作られた石器が多く出土していて、「柳又ポイント」と呼ばれる特徴的な形状をした石器も出土しているとか。縄文時代は今よりも温暖な気候だったと言いますから、今でこそ冷涼な開田高原ですが、当時は木の実をつける広葉樹が茂り、木の実をもとめて動物たちが集まる豊かな森が広がっていたことでしょう。


 九蔵峠から御嶽山麓に広がる柳又原を眺めながら、旧石器人の生活に思いを馳せる隊員たちでした。(aki