(名水の発表を待っていらっしゃった皆様、すみません。
あと3回くらい現地レポートを行った後で発表になります。)
今回は上松町の中心街にほど近い“寝覚の床”。
長野県の方なら大抵皆さんご存じの県歌“信濃の国”。
その4番に謳われる「旅のやどりの寝覚の床」ですね。
あまりに(長野県民の私達の間では)有名だったこともあって
訪れるのが後回しになってしまいましたが、
今回文章を纏めるにあたってちょこちょこ他の方のブログ等を見ると、
実は他県の方はあまり知らないのかもしれないと思い直しました。
もったいない。
国の名勝史跡天然記念物ですし、木曾街道随一の景勝地として知られていたそうなのに。
さて、無料の公園駐車場から歩いて降りていきますと、
(わかりづらい!)
見事な大岩に目を奪われる寝覚の床が現れます。
白い岩(恐らく花崗岩)は本当に大きく、
また木曽川の水流も鮮やかな青緑色で見事なコントラストです。
(この景観は写真のとおり見事なものなのですが、
松尾芭蕉らも訪れた往事に比べ、
水力発電により水位が下がってしまっているようです。
しかしそれが故に巨石が強調されてもいます。
水が豊富であった頃はどのような景色を見せてくれていたのでしょうか。)
案内板の方から眺めるのもよいものなのですが、
実は大岩に近づけるようなので私達は近づいてみました。
(しかし、ごろごろ転がっている1メートル大の岩を乗り越え飛び越えながらなので
スニーカーか登山靴を履き、体力と瞬発力に自信のある方にしかお勧めできません。
雨の日は本当に止めた方がよいです。)
苦労して大岩(床岩と呼ばれているそうです。)の平らな上部
によじ登り辺りを見回すと、何やら祠がありますね。
近づくと亀に乗った人の像が祀られています。
誰あろう、
これは子供達の間でも屈指の有名人
「浦島太郎」(浦島大明神)を祀る浦島堂なのだそうです。
なぜ山の中の木曽の地に浦島太郎?というのは実は私も不思議ですが、
土地の昔話に曰く、
どうやらこの地の正にこの場所(床岩)は、
“浦島太郎が玉手箱を開けた場所である”
と伝わっているそうなのです。
竜宮というまほろばから帰ってきたものの
誰知る人もなく居場所のない浦島太郎が、
あてどなく彷徨い歩いてこの地に辿り着き
その美しさに竜宮の面影を見て玉手箱を開け、
遂にそれまでの長い夢(いや物語と言うべきでしょうか)のような時間から覚めてしまった、
ということで“寝覚の床”。
(すぐ近くの臨川時の宝物館には浦島太郎の釣竿も伝わっているそうです。)
そう思いを馳せた昔の人々の心も少し分かる気がします。
それくらい、この地の大岩は白く鮮やかで碧い水に映えていて、
何とも現世とは隔世の思いを抱かせてくれるのです。(mura)
蛇足:尚、“裏寝覚”と呼ばれるポイントもすぐ下流にあるのですが、
こちらへの遊歩道は現在崩落により通行止めでした。残念。