国道19号を南下し、国道256号との交差点を過ぎ、吾妻橋あたりの対岸に見えるのが、関西電力読書発電所です。
阿寺川から水を注いでいる読書ダム湖の取水口から、柿其水路橋等の導水路に水を引き、この発電所の全長290メートルの水圧鉄管3条から水を落として発電している、最大出力112,100kW/hの水力発電所です。
過去に発電所建設に若干関わったことがある私にとっては、少々興味深い施設です。
発電所の白い建物は、外壁の上方に凝った装飾がされ、半円形の窓や、屋上に突き出た明り取り窓が、アール・デコ洋式を感じさせる、洒落た発電所です。
これを造ったのが、かの有名な電力王 福沢桃介。 言わずと知れた1万円札、福沢諭吉の娘婿。
大正時代に本格的なダム式発電所を日本で初めて造った人物です。
桃介は木曽川に大正8年から15年にかけて、賤母、大桑、須原、桃山、読書、大井、落合の順で7つの水力発電所を建設しており、どれも個性的でロマンに溢れています。
これら発電所を建設するとき、桃介は周囲の景観にずいぶんと配慮して造ったらしい。
火力より安全でクリーンなエネルギーは、環境への影響も少ないだろうし、先見の明があったんでしょうかね・・・・?
木曽川水系で生み出された純国産のエネルギーは、これまた桃介が造った、延長200キロメートル以上に及ぶ送電線で関西方面に送られ、日本の近代化に大いに貢献することとなる。
現在、木曽川の水力発電所は、全て無人で、名古屋で制御されているとのこと。
誰かいれば話を聞こうと思ったが、人の気配は全く無く、発電機の音がするだけ。
今日は昼過ぎから冷たい小雨が降り始め、あたりも暗くなりかけてきたので、発掘隊は本日の最終目的「桃介橋」に急いだ。
前のmuraさんの記事にも紹介されているが、この発電所施設は近代化遺産として、発電設備で初めて、「柿其水路橋」とこの後に出てくる「桃介橋」との3点セットで国の重要文化財に指定されている。
(seisyun)
紀功碑(発電所建設の経緯を記した碑)
この碑も付帯して指定されている