11月下旬、名水探検隊一行は、森林浴で全国的に有名な上松の名所、赤沢自然休養林に向かった。
今まで何度も行こうと思っていたのだが、そのポピュラーさと立地の良さゆえ、いつ行ってもいい、という雰囲気が隊の中に漂っていたのは間違いない。
この日、革靴で木曽古道を登るという、あたかも箸でコーンスープを飲むような無謀な体験に疲労困憊した私は、およそ20年ほど前に赤沢に行ったことを思い出していた。
職場の(当時は)若い連中で遊びに行ったっけなぁ。
新緑がまぶしい5月のことだっけ… 陽射しがキラッキラしていたよな。
ん?
まてよ?
今、何月?
11月だよね、それも下旬…
おいおい、おいらは何をしに行くのさ(Zzz…)
そんなことをぼんやり考えながら、車中でうつらうつらと心地よい眠りに浸りながら、私は本日最後の探検の地を踏んだ。
「誰もいなーい」
そうだ。この時期、こんな寒いところで森林浴をしようなどという奇特な人は、恐らくあまりいないのである。
赤沢自然休養林は11月上旬に今シーズンの営業を終了し、誰一人いないゴーストタウンと化していたのだ。
「いや、我々は水のある風景を訪ねてきたのだ。」
私たちは気を取り直し、案内板などを片っ端から読破し、赤沢マニアと見紛うほどの情熱で猛勉強を始めるのだった。(続く)(momo)