「百聞は一見に如かず」といいますが、なかなか探検に出る機会がなく、もっぱらネットでネタ集めをしています。そうは言っても耳学問も限界、水ネタも底を突きました。

 2週間くらい前の信濃毎日新聞に出ていたので、御覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、南木曽町読書地区の住民有志が、長さ7メートル、直径1メートルの松の大木で水舟を作ったそうです。樹齢およそ130年の大木だそうですが、松くい虫の被害に遭い、やむなく切り倒されたのでした。

 この松、実は由緒ある松で、かの木曽義仲が弓を引く際、邪魔になった松を巴御前が袖を振って倒したとか。その横倒しになった松から新芽が伸び、いつしか「袖振りの松」と呼ばれ、代を重ねて今日に至ったものだそうです。それにしても、武勇でも名高い巴御前ですが、袖を振っただけで松を倒してしまうとは、凄まじい怪力ですね。

 巴御前の怪力にも耐えた袖振りの松ですが、松くい虫には敵わなかったらしく、水舟としてよみがえり、今ごろは訪れる人たちに「涼」を振舞っているのでしょうか。それとも、切り残された根元から、再び逞しく新しい芽を吹くのでしょうか。どなたかご存じでしたら、御報告ください。(aki)