夢の果てに | 劇団 貴社の記者は汽車で帰社

千野さん押しのけてトリで書くことになってしまいました。きっとこれはうちの制作班の陰謀だと思います!

ということで皆様こんにちは、清原清衡役を演じさせていただきました久保田です。

 

後三年記の前作でもある陸奥話記でも清衡を演じましたが、陸奥話記の時は語りで、さらに時系列で言えば後三年記の後の清衡というなんかややっこしい関係になっております。

この清衡、僕の中ではとても印象深い役でして、というのも僕がキシャに正式に入団した最初の役というのが清衡なのです。陸奥話記の時、千野さんと僕で経清と清衡のどちらをやるかという議論になったとき、久保田のほうが生き残った時に希望が残るという理由(だったと思う)で清衡役になりました。最初後三年記のラストで抜け殻のように絶望の中終えようと思っていたのですが、時系列ではこの後に陸奥話記の希望へと繋がっていくというわけで希望が残るような形のラストになったわけです。

 

今回ですが、正直今までで一番苦労しました。いつもは従者やら語りやらで光を際立たせる影、黒子テツヤのような幻のシックスマン的な感じの役をやっていましたが、今回は主演。ということでことあるごとに、「主演オーラが足りない」「なんか違う」「私ならもっとカッコよくできる」etc...

まぁズタボロの雑巾のようにされてきました。自覚はあるんですよ。オーラが足りないってことは・・・ただオーラってなんぞ?という感じです。それに悩みつつ、最終的にはあんな感じでした。どうしたでしょうか?個人的にはオーラ出てたんじゃね?と思っています。これも照明や音響に助けられた部分も大いにあるんですけどね。ホントありがたい。

 

普段小屋入りした後は舞台準備やらに追われて動いている間に緊張がなくなるのですが、今回は今までになく緊張してました。これが主演のプレッシャーなのか・・・!小屋入り後はブルーベリーヨーグルトしか摂取できないくらいになってました。そんな状況を見かねた清衡ファミリーが本番前に円陣で緊張を和らげようとしてくれたのでしょう。優しいんじゃぁ・・・。ごめんね家衡(笑)

 

正直ゲネ前くらいまで不安80%くらいで大丈夫かなと思っていたのですが、周りの演技(特に家衡)がすごく上がっていったので、ようやく清衡になれたと思えるくらい入れるようになりました。

 

ちょっと清衡について。

清衡は強い男です。強く見える。父と母に託された「金色の楽土を作る」という願い。夢。それを叶えるために強くあろうとしました。しかし彼はその願いの重さは次第に呪いとなって彼を歪めてしまった。けれど母や妻や子という守るべきもの、愛する者が彼を支えてくれたため真っ直ぐ立っていられました。それらを失った清衡は心が折れるほど弱くなかった。争いの中に生きる、憎しみですべてを塗りつぶす。そんな地獄の中で終えようとしました。

でもそれは許されなかった。安良が許さなかった。「生きろ」と。あの地獄のような厨川柵で父に。母の最期の言葉で。死ぬ方が楽だろうと僕は思います。しかし清衡は生きることが出来るほど強かった。それは安良のおかげだと思います。あの「生きろ」という言葉で安良が清衡の新たな支えになったのだと。まぁそうして希望の残る感じで終わっても自分の子たちはまた争いの中に身を投じるわけですけどね!

 

さて清衡を演じた感想ですが、一言で

めっちゃ楽しかった!!

 

今回は客演も多く、人見知りの僕には辛いなぁと思っていたのですが、僕としては結構仲良くやれたと思ってます。だよね?

陸奥話記の時は語りだったから他の役との絡みもなければ殺陣もない。でも今回は絡みいっぱい殺陣いっぱいと、大変でしたが楽しい舞台でした。本番が一番いい演技で演じられたと自信をもって言えます!これを糧にもっといい演技していきたいです。

実はありがたいことにこんな僕にメッセージブックを作ってくださった方がおりまして、それがまたとてつもなく良くできていて…おそらくお忙しい中作っていただいたと思いますのでこの場でも御礼を。ありがとうございます!このようなものを頂いてしまうと今後より一層頑張っていかねばと思いますよね。

 

最後になりましたが、『後三年記』にご来場皆様、及びスタッフの皆様ありがとうございました。あと頼りない僕を支えてくれた役者の皆にも感謝を。次回公演は5月、同じくせんがわ劇場にて、皆様のご来場お待ちしています!

 

久保田 祐司