「お腹に力を入れる」ということについて、意外と多くの方が誤解をしているのでお話したいと思います。
「お腹に力を入れて歌うと1曲でフラフラになるくらい疲れますね~」といった感想を聞くことがありますが、これは「お腹に力を入れる」の誤った解釈の一例です。
効率的な発声のための正しい「お腹に力を入れる」という動作は「お腹を支える」→「横隔膜を支える(横隔膜のサポート)」そして「横隔膜を押し上げて圧力をかける(横隔膜のコンプレッション)」となります。
横隔膜のサポートや横隔膜のコンプレッション感覚はショートブレスで息を吐き出す時のあの感覚です。
慣れてくれば横隔膜のサポートが出来ていない状態(喉声)で歌っているよりも、はるかに楽に声が出せます。
正しくお腹をサポート出来れば、むしろ疲れなくなるのです。
「お腹に力を入れる」は「お腹を支える」と解釈しましょう。
そして「お腹を支える」という動作は「横隔膜のサポート&コンプレッション」を行う動作だと意識しながら発声してください。
無駄な力が抜けてとっても良い声で歌えますよ!(^_^)!
以下、キリガヤ・メソッド ボイトレTips より
みなさんは「お腹に力を入れて!」と言われたらどんな動作をしますか?
おそらくボクシングのポーズのように肘を曲げて腕を身体に引き寄せ、膝も少しまげてバランスを取るようにして身体全体に力を入れるようにするでしょう。
この状態で声を出してみてください。むしろ声は出づらくなってしまいますね。
発声のための横隔膜のコンプレッションは単にお腹に力を入れるという感覚とは違うのです。
意外と思われるかも知れませんが、正しい横隔膜のコンプレッション感覚を修得する重要なポイントは「膝」なのです。
膝を曲げずに身体をリラックスしたままお辞儀をするように上体を前に20~30度倒してみましょう。
倒れないように身体のバランスをとるために腹筋と背筋に力が入りますね。
この感覚が正しい横隔膜のコンプレッション感覚です。
あきらかに先ほどの「お腹に力を入れて!」の感覚とは違いますね。
腹筋と背筋以外はリラックスした状態です。
では、試しに膝を少し曲げて同じことをしてみましょう。
前傾により体重移動した上体のバランスを膝を曲げることで調整してしまうので先ほどのように腹筋と背筋に力が入りませんね。
したがって膝を曲げずに軽くおじぎをするように上体を前に倒すポーズが的確な横隔膜のコンプレッションを行うポイントになります。