「子供みたいに夢を見る、でも子供じゃないから実現させる。」
昔の友人の言葉、そして彼は実現させた。
この言葉を思い出させてくれた映画。

イン・ザ・ヒーロー


熱い男、本城渉(唐沢寿明)アイドル俳優、一ノ瀬リョウ(福士蒼汰)
伝説のピンク、吾郎(寺島進)保険屋と二足のわらじ、森田(日向丈)
少々おデブでいい味、満(草野イニ)
口は悪いが姐御肌、美咲(黒谷友香)
リョウのマネージャー、門脇(小出恵介)
本城の別れた妻、凜子(和久井映見)その娘、歩(杉咲花)
凜子に好意、西尾(及川光博)
大物プロデューサー、石橋(加藤雅也)
わがままな監督スタンリー・チャン(イ・ジュニク)
本人役での友情出演、松方弘樹

大々的なロケしなくても、何億円と予算かけなくても、少々話がベタ
過ぎても、ちゃんと映画を作りたい人々が映画を作ればこんなにも
素敵な映画ができるという代表。

私は福士君がやってた仮面ライダーを知らないんで、初めの頃の
嫌な新人俳優がそれはそれではまってて、こういう奴いるよねと
素直に入っていけた。

その福士君演じるリョウ、これまたベタな設定やねんけどまぁ子役が
可愛いから許してしまうわ。
細い体で何故にロケ弁三つも持って帰るのか?ちゃんと訳があった。

いつか顔出して名前も出るアクション俳優になるという夢を諦めない
スーツアクター本城。
御年50歳の唐沢さんが身体張って頑張ってます。
そりゃあアクションの足が上がってなかっったり、筋肉はそんなムキムキ
ではないけれど、走ってる姿の綺麗な事。
上半身はぶれず、ちゃんと体幹があってスタミナを持ってる証拠。

売れない時代にスーツアクターを実際にやっていた事が、今この歳に
なって更に役に広がりを持たせられるという幸せ。

実際スーツアクターだけで食べていける人は少ないだろうし、ケガや
年齢との戦いでもある。
それを自分の夢、他人の夢の為に爆走できる人って本当に少ないやろう。

CGにとって代わられて需要は減ってるのかなと思いきや、映画で説明
されてたゲームで使われるキャラクターの動きをモーションキャプチャー
で取り込む事に使われてて、時代が進んでも生身の動きに勝るものは
ないんだと感心(ゲーム好きには周知の事実だったんでしょうが、
私は全くゲームをやらない人間なので知らなかった)

スーツアクターをバカにしてたリョウにスーツを身に着けさせたシーン、
実際スーツって動き易いように作ってても、装飾品一杯付いてるし、
顔はマスクで覆われて、視界はほとんどない。
そんな状態で四方八方からくる相手と対峙しないといけないって、
本当に大変や。

リョウも本城の熱さが伝染したかのように、前向きにアクションに
取り込んでいく。
愛おしくもあり、邪魔でもある大切な存在と共に夢の第一歩を
踏み出す為に。

私は森田のキャラ好き、保険の契約取る時の筆記具出す姿最高!

チャン監督も、めちゃくちゃな要求出してきてるけど、昔の映画って
監督が全て!で廻ってたんやと思う。
今はハリウッドでは俳優協会が強いから、リスクは避けて撮影する
方向になってるけど、この映画って結構色んな事に対して皮肉ってる。

色々あるけど、スタントマンが降りてしまった後の会議で出てくる会話
「ソウルなら安く撮影できる、高速道路も使える」と。
日本の撮影許可が難しい事を揶揄してる。

最後の大立ち回り、そりゃあCGもワイヤーも使ってるし、
突っ込み所は一杯。
だけどそれをスクリーンに焼き付けた色んな人達の思いを、私は
しっかりと受け止めたいと思った。

エンドロールで唐沢さんや寺島さんのスーツアクター時代や、色んな
方々の写真が出てきて、右下に刻まれた日付にジーン。

昔飲み仲間にヒーローショーやってる男性がいた。
やはり毎日体鍛えてて、ムキムキやった。

唐沢さんは昔「君を忘れない」という映画のトークショーで私の大好きな
近藤房之介さんと共演してて、その時もスーツアクターやショーパブで
働いてた時の話を面白おかしく話してくれてた。
そして房さんの事が大好きで、同じステージに立てたのがとても嬉しいと
語ってたのがとても印象に残ってる。

マンガ原作の邦画ばかりで辟易してた私、こういう夢を感じさせる邦画
嬉しかったです。


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