明けましておめでとうございます。平成28年の暖かい初春を健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。年頭に際しましてご挨拶申し上げます。
当院は昨年9月をもちまして開業満5周年を迎えることができました。まさに一つの大きな区切りの年でした。これもひとえにご利用の患者様はじめ、スタッフの協力の賜物と感謝いたしております。この場を借りて厚く御礼申し上げます。この5年間の歩みを振り返るとともに、初心に戻り、これからの進路を再確認する年となりました。
昨年を振り返りますと、3月には患者会活動の一環として調理実習を開催し、5月に開催された山口県の糖尿病学会において、糖尿病療養指導士（CDEJ）山里からその活動について発表することができました。10月には糖尿病週間に先立ち、院長による深呼吸を採り入れた「ゆるゆるストレッチ」を楽しむことができました。11月には沖縄県地域糖尿病療養指導士会の主催による糖尿病週間に因んだウオークラリーが開催され、スタッフのなかから沖縄糖尿病療養指導士（LCDEO）の2名（島尻公彦、比嘉さおり）が参加させていただきました。また、11月にはオーストラリアのニューキャッスル大学医学部からの医学生（シャーメイン・ローさん）が短期留学に来られ、外来が華やかになりました。外来では與那嶺先生の実験アシスタントのため、琉球大学から研究補助員の池松さんが来られ、臨床研究も進行しております。
慶事もありました。開業当初から参画し、医事課業務をきめ細かくこなして頂いている愛香さんがめでたくご結婚されました。当院から新たにCDEJの合格者が生まれるという快挙もあり、沖縄県における糖尿病診療のレベルアップになるものと嬉しく感じました。院長が提出中の論文も受諾され、昨年末糖尿病学会学術誌へ掲載されました（タイトル：原因不明の修飾ヘモグロビンのためにHbA1cが偽高値を示した１例）。時間はかかりましたが珍しい症例を報告することができたことを大変嬉しく思い、肩の荷が降りるのを感じました。また引き続き学外支援講師として医学部3年生の内分泌学講義を担当させていただいており、大学とのパイプを活かして、診療ばかりでなく研究を通して学術的にも後進の育成に力を注いで行きたいと思っております。
さて、これから日本は団塊の世代の退職が大規模に起こり、超高齢化社会が到来します。沖縄県は出生率が全国一高い県ですが、老人人口も加速度的に増えて来ます。近隣ではこのような高齢化社会に対応するべく、多くの有料老人ホームが建設されております。当院におきましても、訪問診療、訪問看護の体制を構築し、これに対応して参りました。異なる事業所とタイアップしながら、利用者の皆様方に人生で最も豊穣の時を迎えて頂きたいと思っております。
昨年はテロによる世界情勢が不安定ななか、我が国におきましてはアベノミクスの影響もあり、景気が少しばかり好転している印象を持っています。しかし、医療界においては診療報酬の改正があり、少なからず影響を受ける分野があるようです。デフレ脱却にむけても、しっかりとした景気対策を合わせて継続して施して頂きたいと思います。このようななか、ノーベル賞に輝いた日本人が2人も現れました。私財を投げ打ち、抗寄生虫薬を実用化し、ノーベル医学賞を受賞された大村博士には頭が下がります。沖縄県でも多くの糞線虫症（寄生虫病）の患者さんがその恩恵を受けました。学問の興隆が多くの方々に福音をもたらすことを改めて感じた年でもありました。
沖縄も平和を享受し、戦後70年と言う一つの区切りの年を迎えました。防衛のための辺野古埋め立ての話題で持ち切りでしたが、もっと創造的なスーパーカミオカンデのような施設は建設できないものかと思う日々です。テレビでは「下町ロケット」が大流行し、生産、技術、そして特許というものに目が向けられました。
当院では5周年の記念事業として近隣の株式会社「なかんだかり」と提携し、玄米ジューシー（雑炊）を開発いたしました。これから辺野古にある沖縄工業高等専門学校と産学連携し、糖尿病の患者さんや年配の方々にも提供できるような食品の開発を推進して参りたいと思っております。また今年当院は、個人開業から医療法人化へと舵を切り、公的機関として世に貢献して行きたいと考えております。
今年は申年です。申年に漬けた梅干しは縁起が良い、と古来伝えられております。実り多い年の予感がするのではないでしょうか。昨年は台風も少なく、サトウキビもまた豊作が期待されています。豊かな知恵に導かれ、これまで以上に精進して参りたいと思います。
今後とも尚一層のご指導ご鞭撻、宜しくお願い申し上げます。
平成28年丙申（ひのえさる）正月
島尻キンザー前クリニック
院長 島尻佳典