倍音 (2) | 粋な二上り三下り

倍音 (2)

前回の続きで、中村明一著「倍音」という本のお話です。


なぜ、倍音が人の心を魅了するかについて、この本ではおよそ以下のように説明されています。


我々人間の話す声の周波数は、100-300Hzですが、人間の聴覚の最も敏感な音域は、3000- 4000Hzと言われています(健康診断の聴力検査には、1000Hzと4000Hzの純音を用います)。


この音域帯は、人間の話し声や、音楽の楽譜に載る音よりもかなり高く、例えばピアノでは、基音の上限が4000Hzですが、実際にこの高さで演奏されることは殆どありません。


では何故人間がこの周波数帯に敏感なのかというと、自然界の動物の呼吸音や、枯葉を踏む足音など、外敵からの危険を知らせる音が、この周波数帯に属するため、原始時代はこれらの高い音に敏感である必要があったからとのことです。


これら4000Hz前後の音や、人間に快感や免疫活性向上をもたらすとされる、20KHz以上の可聴域外の音は、山中や熱帯雨林など自然界には豊富に存在しますが、人間の会話や音楽では、基音以外の倍音として含まれてきます。



倍音には、基音の整数倍の周波数の「整数次倍音」と、それ以外の「非整数次倍音」がありますが、我々は整数次倍音を聞くと、荘厳な雰囲気を感じたり、自然を超えたもの、宗教性を感じる傾向があり、非整数次倍音を聞くと、自然を思い起こさせたり、注意を喚起させたり、情緒性、親密性を感じたりする傾向があるとのことです。


本では、整数次倍音を多く含む声として、平山みき、郷ひろみ、田中角栄などを、非整数次倍音を多く含む声として、森進一、平原綾香、小泉純一郎などをあげています。


我々は普段、音楽をCDやラジオ、DL端末などで聞いていますが、これらの音源では、20KHz以上の可聴域外の倍音はカットされてしまうので、その音楽の真価を十分に評価できません。

特に邦楽は倍音が豊かな音楽なので、CDと生で聞くのとは大きな開きがあると思います。


普段からなるべく自然の音を多く聞くようにしていきたいですね。


今日は雨です。木の芽も少しづつ膨らんできました。


粋な二上り三下り-如月


- 如月や大地の呼吸の周波数 -