土地の購入に向けての判断基準は言うまでも無く、希望通りの家が建てられるかどうかです。
そのためにはクライアントと共に敷地に立ち、境界確認、方位、道路条件、近隣環境、敷地の形状、高低差、排水、土質などを確認し、状況分析を行いながら判断基準を確認して行きます。
また、防火制限の確認では準防火地域などでは、窓や外壁の防火性能を高くする必要があり、コスト的にも影響が出てきます。
特に建築法規の中でも北側高さ制限は、家の形状、面積や屋根のかけ方に大きく影響しますので、方位の確認と共にその場でご説明します。
概ね大きな問題も無く、購入に向けてのステップを踏んでいくことになりました。
特に決め手になったのは、敷地の広さと建蔽率から決まる1階の床面積が大きめに取れることでした。
高齢化したときにも、なるべく1階で生活が充足できることは、長い目で見て生活の利便性に大きく関わるからです。
クライアントの方の経験や洞察力が、私以上に未来を見据えていたことには感服しました。
さて、敷地を確認した後に、早速にラフプランニングに入ります。
これまでに、家を造る時の企画、構想を既に練られており、それを書いて頂く「木の家づくりカルテ」を検討していましたので、基本的な条件は組み込んいました。
しかし、土地の購入の最終的判断のためですので、なるべく短時間に、ポイントを絞って設計する最初のプランニングになります。
それを、「ボリュームプランニング」として提案しました。
細かいプランではなく、家の中心的なひろま空間と個室的空間、さらに水廻りなどのスペースをボリュームとしてプランニングする方法です。
ひろま空間と各個室、水廻り、玄関、メインの窓などの位置関係や大きさ、広さ、相互のバランスを検討する設計手法です。
メーカーの商品住宅のようにすぐに実際の、細部まで書き込まれた図図面ではなく、抽象的な空間ゾーンだけを描いた記号的図面です。
それでも、その後の展開の可能性を検討し、現実化していくときに破綻しないような検討は裏側で行っています。
むしろ、クライアントと共に、無から有を作り出していくときの空間感覚を共有化するために必要なステップの設計です。
この検討にて、もう少し大きくすることの可能性も確認して、購入の手続きに入りました。
木の家の赤ちゃんが生まれた瞬間です。