さっき、
健康診断から帰って来た。
僕がいつ帰って来ようと、
そういうことには、
誰も興味がないと思うけどね……。
僕は高血圧と2年ぐらい前に診断されて、
定期的に病院に通っているんだけど、
その病院で、
健康診断をしてもらった。
だから、
いつも見る顔ぶれで、
なんら嬉しいことはない。
受付のババアは、
相変わらず無愛想だったし、
特に無愛想な受付ババアは、
いつもの調子で、
拒食症のちびまる子ちゃんのような風情で、
僕をグッと睨んでいやがった。
どうやら、
結果は一週間後ぐらいに出るらしいから、
それまでは、
これといった報告も出来ねえから、
このブログを読んでいる人も、
「チェッ、つまんないの」
ってところだろうな。
人間にはあり得ない、
ジステンパーとかが見つかったら、
スパリゾート井上冥利に尽きるんだけど、
そこまで面白い結果は出ないと思うから、
あしからずって奴ね。
そんなわけで、
健康診断なんかを退屈にこなしていたら、
友達から添付ファイル付きの、
メールが送られて来た。
その添付ファイルってえのが、
この写真だったわけ。
盟友で人形師の齊藤さんが、
何かやらかしたかなと、
一瞬青ざめちゃったけど、
どうも違うみたい。
なんでもこのハゲはさ、
40歳って年甲斐もなく、
インターネットのコミュニティサイトかなんかで、
10代の女のコに近づいたんだって。
だけど、
若いコって辛辣じゃん。
「クソじじいはひっこんでろ!」
って、
手厳しく拒絶されちゃったんだってさ。
それがショックだってえのはわかるけど、
10代の女のコにとっちゃ、
40歳で、
しかもハゲは、
十分にクソジジイだよな。
そう合点すればよかったんだけど、
このハゲは、
やたらと悔しかったらしく、
自分の年齢を高校生っていつわって、
中学生の女のコに近づき、
そのコの裸の写真を送らせたそうなんだよ。
それが元で逮捕されたみたいなんだよ。
40歳のハゲなら、
「クソジジイ」
呼ばわりするっつうのに、
高校生ならば、
裸の写真を送る女のコの気持ちは、
なんだかよくわからんし、
ハゲのくせにロリコンに走る気持ちもわからんが、
身につまされる事件だよなあ。
普通に僕の10代のころを考えりゃ、
ご無理ごもっともな話なんだよ、
40代が10代に『クソジジイ』呼ばわりされるのは。
実際、
僕も10代のころは、
40代の人間を、
『クソジジイ』『クソババア』
として見ていたから。
だけど、
テメーが40代になるとさ、
うぬぼれが出て来て、
「オレは年齢よりずっと若い」
って、
勘違いしちゃうんだよね。
勘違いというか、
老いを認めたくないという抗いなんだろうね。
だから、
「そこのお兄さん」
なんて背後で声がすると、
僕じゃなく、
他人を呼んでいるのに、
「ハイ、なんでしょうか?」
なんていっちゃうし、
「そこのジジイ」
って背後から声をかけられちゃうと、
完璧に僕が呼ばれているのに、
左右を見回して、
ジジイを探したりしちゃう。
そんな人間が、
クソジジイと名指しにされちゃ、
やっぱりショックだよなあ。
だからといって、
高校生に成り済ますってのは、
どうしたもんかと思うけど、
クソジジイ呼ばわりした奴を、
ギャフンといわせてやろうか、
ってな気になるのは、
わからん話じゃない。
で、
結局行動に出て、
なんかトラブルになるぐらいだったら、
ジジイやババアは、
背伸びなんかしないで、
ジジイやババアとつるんでりゃいいんだよ。
ヨボヨボと若い奴らの間には、
深くて暗い川があるんだから。
無理して背伸びをしなきゃ、
犯罪から身を守ることだって、
そうそう難しい話じゃない。
犯罪から身を守るってえのは、
別に犯罪被害から身を守ることだけじゃなくって、
加害者にならないようにするってえのも、
その言葉の中にはあるわけじゃん。
今ハゲを『クソジジイ』呼ばわりしているコだって、
あと20年もすれば、
完璧に若い連中から、
「クソジジイ」
だとか、
「クソババア」
なんて馬鹿にされちゃうわけだもん。
こういうのって、
順番みたいなもんだから、
嘆いたって仕方ねえもん。
しかし、
若い連中って、
そんなにいいのかね?
経験がない分、
話だって面白くないし、
何がいいのかわからん。
きっと、
逮捕されたハゲは、
あんまり社会との接点がない奴で、
経験も乏しく、
10代と話すぐらいがちょうどよかったのかもね。
ハゲのくせに経験不足だなんて、
なんか悲しいね。
BGMは長谷川きよしで『黒の舟歌』をどうぞ。
野坂先生の深みがないなあ……。