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メルマガ更新(抗弁の接続とクレジット会社への対抗について・混合診療と保険の不適用)

川本です。

更新が随分開いてしまいました。
言い訳以外の何ものでもありませんが,刑事事件の大型尋問でばたばたしておりました。
これからまた,弁論(最後の意見のまとめ)へ向けて,ばたばたします。

そんな間に,鈴木弁護士のメルマガが,2つ発行されていますので,ご紹介します。
いずれも,最高裁で,平成23年10月25日に出た判決です。

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1件目は,男性が,デート商法で10万円ほどの貴金属を150万円で買わされたという事案。
貴金属の売買契約が,「公序良俗に反するもので無効」という部分は争いの対象でないのですが,問題は,この男性が,クレジットを組んで,代金を支払っていたことです。

このような場合,男性は,割賦販売法という法律により,クレジット会社に対する弁済をとめられるということになっています(抗弁の接続)。しかし,既に支払ったお金(既払金)を返すよう求められるのかという点が問題になりました。

原審の名古屋高裁では,売買契約が公序良俗違反である以上,クレジット契約も有効でなくなり,クレジット会社は,お金を返すべきと判断しましたが,最高裁は,これを否定し,お金を返さなくて良いとしました。その理由の中心は,「クレジット契約」と「売買契約」は別というものです。
ただ,最高裁も,販売業者の悪質性についてのクレジット会社の認識などによっては,クレジット契約が無効になりうる余地は認めています。

なかなか,どうだろうかという判例ですが,もう少し別の救済方法もあります。

まず,この件では,時効にかかって駄目でしたが,消費者契約法によってクレジット契約を取消して,既払金を返してもらうという方法が考えられます。消費者契約法の取消の時効は,6か月と異常に短いので注意が必要です。
また,平成21年12月1日以降に,訪問販売(店舗外販売)などで,売買契約がされている場合には,改正された割賦販売法が適用され,クレジット契約自体を解消することができることもあります。
いずれにしても,早期に専門家に相談されることが肝要です。

メルマガの記事はこちらです。
※一部次のメルマガで訂正がございますので,ご注意下さい。

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2件目は,混合診療についてのものです。

混合診療とは,単独であれば健康保険の適用がある保険診療と,健康保険の適用がない自由診療とを併用する診療,いわゆる「保険のきく診療」と「保険のきかない診療」を併用することです。

混合診療の場合,厚生労働省は,健康保険法で特に例外がある場合を別にして,単独なら保険のきく診療も含めて,全体について保険がきかないという解釈をしてきました。

これを混合診療保険給付外の原則といいます。
この解釈は,法律にそのまま明確に書かれているものではないことから,論議はあったのですが,最高裁は厚生労働省の解釈を認める判断をしました。

メルマガの記事はこちらです。

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双方の問題に共通しますが,「制度上の問題」と言ってしまえばそうなのかもしれませんが,個人的には,最高裁・裁判所が果たすべき役割をそこに尽きさせて良いのかという疑問があります。
法律の解釈というのは,時代によって変わりうるところがあります。杓子定規な解釈では,時代が移ろえば,かえって不合理な結論を生むこともあるわけです。

・・夜にブログをかいたので,少し熱くなってしまいました。

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(記事・川本真聖)
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メルマガ更新(ある人の所有物が無断で販売委託された場合の問題)

10月19日に更新された鈴木弁護士によるメールマガジンの記事です。

最高裁判所H23.10.18判決の事案です。

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Xさんが,工場で栽培していたブナシメジについて,Aさんが,無断で,Yさんとの間で販売委託契約を結んでしまった事例です。
Xさんは,Aさんの無断契約を「追認」して,「ブナシメジの販売委託契約は,XとYとの間で生じているから,ブナシメジの販売代金を直接自分に払え」と言えるでしょうか。

ブナシメジはXさんのものであることからすれば,Xさんの主張を許してもよいように思えますね。
反面,Yさんからすれば,「Aさんだから契約した。Xなんて知らない」という反論がありそうですね。

答え(裁判所の判断は)・・記事の最後に書いておきますが,よろしければメルマガサイトをご覧下さい。

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(記事・川本真聖)
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(回答)
裁判所の判断は,「Xさんの主張は認められない」でした。

訪問買取(押買い)パブリックコメント

少し,更新に時間が開いてしまいました。
その間に,鈴木弁護士のメールマガジンも更新されていますが,それはまた紹介しましょう。

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先日,ご紹介した「訪問買取(押買い)」についてのパブリックコメント,昨日が締め切りでした。
私は,大阪弁護士会の消費者保護委員会所属の先生方と相談して意見を作成し,提出しました。

内容ですが,
1 問題は,訪問買取に留まらないので,不招請勧誘(消費者が要請していない勧誘)をもれなく規制するような改正が必要。
2 貴金属等の訪問買取は,そもそも禁止すべき。
3 許容される訪問買取についても,不当な消費者被害が生じないようにきちんと規制をおくべき(細かく規制を提案しました)。
というものです。

1は,今回の消費者庁の意見募集からすれば少し趣旨はずれますが,非常に重要なことなので,きちんと意思表示しておかなければならないということから入りました。

特に,大阪弁護士会では,この点に関し,「特定商取引法の改正を求める意見書(pdfファイル)」を出したことをご紹介しましたが,このパブリックコメントに対しても,重ねて「『消費者庁「貴金属の訪問買取りに係るトラブルに対する法的措置について(案)に関する御意見募集』に関する会長声明(pdfファイル)」を出し,より広い範囲での改正を呼びかけました。

早期に抜け目の無い法整備が必要との強い考えがあるのです。

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しかし,現段階では,消費者庁で,広く不招請勧誘に対応できるような法整備に着手する様子はありません。
この様子は,先日,政府消費者委員会(第71回)で,訪問買取問題に関して,説明をおこなった消費者長担当者の方のお話の様子から,そのように感じられるところです。
消費者委員会の様子は,消費者委員会のサイトから動画でみることができます。
消費者委員会ウエブサイト(第71回)

しかるに,消費者庁でも,先日「鉱山の採掘」「鉱物」についての権利の販売トラブルが起きているとして,注意喚起をされています(消費者庁のサイト(pdfファイル))。
消費者庁においても,法整備の必要性は,認識されているはずであり,速やかな対応が期待されます。

(川本真聖)
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