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私の大失敗

 大昔の話です。

 知的障害特別支援学校にいた頃。


 F君は、自閉症かどうかはわかりません。
 人なつっこくて「一緒に遊ぼう」とでも言うように相手を見て首を
かしげたり、「一緒に読んで」とでも言うように本を持ってきたり
します。

 また音楽が大好きです。しかし友だちと音楽の趣味が合わなくて
喧嘩になったりするので、ヘッドホンで音楽を聞くことをやってみたり
しました。落ち着いている時は静かに聞いています。

 で、昨年度の3学期、コミュニケーション練習に使えないかと、
ドレミファドーナツの絵を描いたカードを教師に渡したら
ヘッドホンステレオを聞かせてもらえる、というのをやってみたら
かなりできました。

 ところが、新年度になって教室が変わったり、運動会の練習が
あったりしたせいか、ヘッドホンはたて続けに3つ壊されるは、
(全部自腹・・・アセ)カードを使うことがはっきりしなくなるは、
という状態になりました。また私自身「カードはまだ早く、実物
レベルじゃないかなあ」という思いもありました。

 で、この実践自然消滅みたいになってました。そしたら2学期の
始業式の日、教室で全然別のところにいた私にF君はにこにこしながら
ドレミファドーナツのカードをわざわざ渡しに来たのです。

 よし、っと思い、またカードで要求を伝える、というのを復活
させることにしました。そしてすぐにカセット・ガラガラ・ペットボトル
と数を増やしても、ちゃんと使い分けて渡してくれるようになりました。

 また、トイレに行く時に写真を示したりしてたら、ある日、にこにこ
しながらトイレの写真を持って来てくれました。行ってみると成功。

 また授業では、スケジュールなどはわからないと思っていたのですが、
スケジュールボードに貼ったどんぐりを手に取り、ペットボトルにどんぐり
入れをする机まで行き、自分でイスを引いて座る(ちょっとびっくり
するようなことです)なんてこともありました。

 後、掃除機を教室の入り口に置いています。掃除機のスイッチを入れる
のは好きです。(たぶん音と振動の出るのが嬉しいのだと思いますが)
そこで、掃除機を出し、コードを出し、コンセントに入れ、スイッチを
入れ、スイッチを切り、コンセントから抜き、コードをしまい、片づける
という一連の動作を教えるとコンセントを入れるところ以外は介助なしで
やることができるようになりました。

 そこで「スケジュールがわかって待てる」「スケジュールに従って行動
できる」ということを目指そうとしました。
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 そこで教室の入り口にスケジュールボードを作りました。
 そして朝、教室に入って来たら、

 「着替え」
 「掃除」(掃除機で・・・まあスイッチを入れてすぐにおしまい)
 「遊び」
 「教室の朝の会」
 「体育館へ」

 という流れが写真カードでわかるようにしました。
 そして彼の色のカードをトランジションカードとして、そのカードを
もらうとスケジュールボードのところへ行き、次の予定の写真カードを
取る、というふうにしようとしました。

 12月16日がスタートでした。

 「着替え」はまあまあ。
 
 次「掃除」のところで、彼は掃除機で遊ぶのは好きなのですが、「遊び」
を先にしたかったみたい。そこで、ボードを指し示しながら、後で「遊び」
があるから、ということを伝え、彼の手を取り、腰を引いて逃げようとする
お尻を押したりもし、いつもと違って(いつもはコンセントを入れるところ
だけの介助でほぼok)かなり手を取り、やらせました。

 それが終わったら、後の「遊び」や「朝の会」は、トランジションカード
の使い方はわかってませんが、次のカードを手渡せば次が何か理解する、
というのはできてたようです。

 翌17日。

 ちょっと機嫌悪そうではありましたが、同じようにやりました。

 翌18日。

 バスから降りるなり、大粒の涙を流しながらなにごとかを訴えます。
 もちろんスケジュールもくそも無い・・・・
 彼はついに半日泣き続けていました。
 彼のできてたことも、できないことがいっぱい・・・

 ああ、無理なことをやり過ぎたな、と思いました。
 (注・泣くことそれ自体は別にいいと思っていますが、どういう状況で
    何故泣いたか、によってこちらもあれこれ考えないといけない)

 それこそ「無理な訓練」になっていたようです。
 他のところかも傍証がいろいろあがって来ました。

 その日のうちにスケジュールボードははずしました。


 もちろん、その日のうちからもですが、翌日からは、特にまあ朝来て
すぐの着替えはさせるとして、その後、いかにF君の笑顔を出させるか、
に腐心しています。

 でも終業式までなかなかからっと気持ち良くとはいきませんでした。


 私は結構この手の失敗をします。

 3学期になってF君の笑顔も戻りました。

 でスケジュールなどの指導を意図的にすることをあきらめたか、と言うと・・
全然そんなことはなくて、授業の場面に限って、授業の流れをどうしたら
わかってもらえるか、を考え具体物をより取り入れたりしながら、いろいろ
働きかけをしています。
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 またみなさんレス(コメント)つけて下さいね。

 特に○○さん。
 こないだふられたんだから、今回は指名してもいいっしょ(笑)

 まあだいたいわかりますけど。

 > 次「掃除」のところで、彼は掃除機で遊ぶのは好きなのですが、「遊び」
>を先にしたかったみたい。そこで、ボードを指し示しながら、後で「遊び」
>があるから、ということを伝え、彼の手を取り、腰を引いて逃げようとする
>お尻を押したりもし、いつもと違って(いつもはコンセントを入れるところ
>だけの介助でほぼok)かなり手を取り、やらせました。

「この時点でこれはTEACCHではありません」(笑)
 あと、アセスメントがどうだったかとか・・・アセスメントが無いから
TEACCHでは無い??

 上に書いたようなことがインフォーマルなアセスメントになるかな、
とは思っていたですが。
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 ○○さん、こんにちは。
 無理矢理レスつけさせてすいません。

 >まあ,そうかもしれないです.お尻を押す前にスケジュールの提示の
 >方法とか順番とか,色々工夫したり,その時の子どもの状況に
 >あわせて(物理的ではなく)押したり引いたりしてみたいですね.

 物理的ではなく・・・
 ほんまですね。
 でもやっぱり手をひっぱったり、背を軽く押したり、というのは
よく使ってしまいます。うーーん、もっともっと減らしてみないと
いけないか。

 >学校のように比較的長期間指導できて,教師がアセスメントについて
 >理解していれば,アセスメントと指導というのは,そんなに区別しなくてもいいでし
 >ょう.指導とアセスメントが一体となっていると思います

 そうであるはずですよね。

 >大体PEPとかCARSとかは短時間で効率よく情報を集めるために
 >あるので,なきゃないで問題ないです.
 >私が教師ならどっちも要りません.

 あははなるほど。

 ちなみにF君とは、今普通の授業場面でスケジュールを提示する試みを
やっていて「机の上で勉強」する時に「どんぐり(本物)」を持って
勉強する机に行ったり、「コップ(本物)」を持っておやつを食べる机
に行ったりしてくれるようになりました。

 で、おやつの時もばっちりだけど、とりあえず「どんぐり」の時は
勉強の机に行ってくれてるなあ・・・

 今回は○○さんにレスを強要してしまいました。

 「セミナーに4回も行ったもんが何を今さら言ってんの」ってとこが
あるかもしれません。でもね、私、はっきり言ってセンスも能力も無い
って思っています。とにかくいろいろみなさんとやりとりしながら、
考えていかないと、とてもじゃないけど実践続けていけないんですよね。

 ほんま今後とも、みなさんよろしくお願いします。
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追記
 TEACCH的な教育をやるならまずPEP、ということでもなさそう
です。もちろんありゃあ便利だろうけど。