前回の続きです。
以下私の質問と彼の回答のメールの一部です。
フロリダでの施術状況を教えてください
2011年○月○日と2日にかけて行ってきました。 施術料金は7800ドルでした。当時のレートで65万円ぐらいでしたね。 50台以上に見える男性のボス(○○○氏)と20代の助手の合わせて二人が施術を担当しました。 ○○○は髪の長さ3センチ以上の短髪のドフサでしたが助手の方は自らもタトゥーが施された状態の頭でした。
施術は2日間にかけて行われましたが、 なぜかHISのメソッドよりもはるかに長い時間かかりました。 初日は5時間、2日目は2時間ぐらいでしょうか。 機械の電動音がする器具を使ってタトゥーを打っていくという点ではHISと似ていました。
初日の施術が終わった後に、氷を渡されて、一晩かけて頭部を冷やすように言われました。 寝る時間を削ってでも頭部を冷やし続けるのがベストだといわれましたね。 冷やす理由としては針で打ちまくって赤くなっている頭部の赤みを、冷やすことにより和らげるため、そして赤みを消すことにより2日目の施術をやりやすくするためと説明されました。 そしてシャンプーは、低刺激なのかなんなのかよくわからないものを渡されて、激しくこすらないように頭髪するように言われました。
フロントラインのライン取りも、最初何も言わずにラインを書かれて、これでいいか?みたいに言われたんですが そのラインがおそるべきことに実際の生え際最前線よりも2センチ以上も下に設定しようとするものでした。 僕の元々の頭部画像をご覧になったことがあると思いますが、 僕の薄毛のパターンは生え際がきれいに消滅して上に上がっているというよりは 生え際周辺が薄くなりつつ、トップの方も密度が少なくなっているパターンなので 実際のフロントラインよりもグッとラインを下げるというのは極めてナンセンスだと感じました。 生まれつきのラインよりも2センチ以上も下げて、自然に仕上がるのでしょうか? 当然「これだと顔の印象がまるっきり変わってしまう」と言って断りました。
日本語を母国語とする通訳者が横にいたんですが、全体的に施術者と細かな意思疎通ができていなかったような気がします。 「この施術者は自分でクリニックを持ってるような人間だから、 百戦錬磨のはずだから僕が色々言うよりも、ある程度任せてしまえばいいだろう」と 納得しようとしてしまったのもよくありませんでした。 そして当時の精神状態はまさに藁をも掴むという感じでしたので 「なんでもいいから、とにかく助けてくれ」という気持ちばかりが前にきていました。
タトゥーが薄くなることはあるのかと聞いたところ、腕に施されたタトゥーを見せ付けられ 「これと同じだから数十年単位でも消えやしない」といわれました。 ただ、最初の1年は消えやすいから紫外線を浴びないように言われました。
帰国後、紫外線には相当気を使っていたのですが最初の2ヶ月でわずかなムラが出来始め、半年後には眉毛を書く用のペンを使ってムラをごまかさなければいけないほどになってました。
2011年10月頃から再びクリニックと連絡をとって、再度の施術を依頼しようとしたのですが、 こちらが細かく今の頭部状況を説明しても「今度はタダでやってあげるからもう一度来なさい」とだけしか言ってこないので 「こちらの状況説明に応じた文章を書いてほしい」と言ったところ 添付した内容の返事が届きました。 そのときもうすでにHISさんと連絡を取り始めた頃だったので、これ以上フロリダと関わる必要はないなと思いました。
メンテナンスの必要性についての説明は? はい、several decadesとかsome decadesとかって聞こえましたし 通訳者からも数十年は大丈夫だと言ってました。 ○○○氏自身も正直完全に手探りの施術だったんだと思いますが 数十年先まで保証するような言い方は軽率だったと思います。 マイアミ国際空港から車で3、4時間もかかる場所でしたし(僕のときは通訳者が車持ちでした) 簡単に来れない場所にある分なんとなく強気なことを言ってしまったんでしょうかね。
あと、施術前に署名するように言われた文書には「何が起きても訴えない」の他に 「ネットに悪口を書かない」という謎の条件も書いてありました(笑) さらに言うと「無償での手直しは30日以内」という無茶苦茶な条件もありました。
最悪の事態が起きても、血の通った対応をしてくれるのであれば騙された気分にはならないんですよ。 フロリダ州は人種差別で有名な南部だからこんな対応なのか?という勘ぐりまで産み出されましたね。 もちろんそれは考え過ぎですけど、「なんでこんな不誠実な対応なんだ」という気持ちでいっぱいでした。
我々HISはそれぞれの人種、肌の色、本人の希望などにより色の濃淡を調整することが出来ますしいつもその説明やカラーナンバーの告知をしていますがフロリダはそのあたりどうでしたか
インクの濃淡に関しては、人に合わせて細かく調整できるとは言ってましたけれども 具体的な濃さについてこちらの希望を聞いてくるわけではありませんでした。 その時の僕の解釈としては「一人一人の状態に合ったベストな濃さというのが存在していて、 こちらがごちゃごちゃ言わずとも○○○がそのベストな濃さを選んでくれるんだろう。」という考えでした。
料金
高いですね。これで約65万ですか・・・
彼の場合は側頭部、後頭部は髪が豊富で施術の必要が無くフロントラインと
頭頂部にかけての施術になるので約40万といったところでしょうか。
施術期間について
強行日程にしたのかもしれませんが我々では有り得ない施術日程です。 氷で1晩冷やすなんて気休めみたいなのもです。 1回の施術でダメージをうけた頭皮の回復を図るため最低中3日を要します。 当然かさぶたなんかも出来ますしそれが癒えて取れるのを待ちます。
また何日か間隔を空けるのは初回に入れたドットやカラーがどのくらい定着しているか、そして残存している毛髪・毛根とうまくマッチしているか見極める為です。
ですから我々は初回はベストであろうカラーよりもやや薄目のものを使います。 針のプレッシャーも初回と2回目以降は変えていきます。
恐らくA社はそういったことは全くお構いなしの初回からの全力疾走なのですね。 全てがアバウト、外人らしいといえば外人らしい(苦笑) 施術期間は1週間近く空けるのが本当はベストです。 2回での施術で終わりの場合は延べ5日間・3回の施術の場合は延べ8日~9日間が必要最低日数ですね。 1回目はフロントラインの決定とフロント周りのぼかしやらを念入りに全体の下地作り約2~3時間。 2回目は3日以上空けて前回のドットとカラーの定着具合をチェックしながら場合によっては色素を変更しながらの密度アップ、及びフロントのぼかし作業を再度念入りに作業約2時間。 3回目も3日間ほど空けて密度を更に上げながらの全体的なバランス調整。 約1時間。
フロントラインについて フロントラインで施術の成否が決まります。
我々はフロントラインがその人のヘアースタイルのイメージを決定づけるものでありそれ故 施術前のラインの決定段階では細心の注意とクライアントとの最大限の意思疎通を図りながら 決めて行きます。
本社勤務の際には最終的なラインの決定の場には他のスタッフも集合してみんなでチェックする体制を取っていました。
欧米人、黒人、アジア人などの人種別の適合ヘアーラインも完全マニュアル化されており それに加えて頭の形、その人の年齢に合わせたラインを描けるように講師のもとでマネキン人形の頭で空いた時間にはよく練習させられたものでした。
またより自然な感じをかもしだすためにも直線ではなくゆるやかなカーブを描き(黒人なんかは直線のカクカクしたラインを好む人が多かったですがアジア人は似合いませんね)、加えて ラインもくっきりと出すのではなく小さなドット、薄いドット、通常のドットなどをうまくちりばめて の集合体でひとつのラインを形成していくといった技法も必要になってきます。 そういった我々の概念からしてこのラインは理解不能以外の何物でも有りません。
施術者と細かな意思疎通ができていなかったかもとメールにもありましたが それを加味しても有り得ません。
何のマニュアル化もされておらずアジア人にマッチするラインがどういうもので あるかも解らず安易に描いたものとしか考えられません。 後はA社の施術者の絵?のセンスが小学生同等、それ以下のレベルということです。
ドットの打ち方にも触れますが
恐らく針を打ち込むプレッシャーが場所によってばらばらなのでしょう、 ドットの大きさが不均一すぎる。 フロントラインの作業についてもあきれるほどの稚拙さ。ぼかしてうまく 自然に見せれるような作業が全くできていません。出来ないのでしょう。 A社の施術者の根本的な技術不足ですね。 これが我々のスタッフなら施術は絶対させません。
インクとメンテナンスについて
「腕に施されたタトゥーを見せつけられ、これと同じだから数十年単位で消えない」
上の写真からも間違いなくタトゥーインクですね。 施術直後の洗髪もOKですから。 確かに消えにくいとは思いますが年月とともにドットはぼやけてきます。 体の新陳代謝によるものです。 問題はぼやけてきたときの状態とそれに如何に対応できるかです。 下の写真をみるとA社のインクは施術者の技術のせいもあってぼやけが半年足らずで始まりまたムラも酷くなっています。
我々のインクはこの施術専用に開発されたものでタトゥーインクとは違います。 水溶性で汗や水は施術直後は大敵です。 また個人差はありますが時間の経過で薄くもなりますがA社とちがってドットが まだらになることはありません。薄くなることによってその周りに濃い色のドット を調合することによりより立体的な自然さがかもしだされる狙いもあります。 通常のタトゥーインクですとこのあたりのさじ加減がなかなか難しいのです。
ドットを打った皮膚の箇所に新陳代謝により新しい皮膚が覆いかぶさって全体的にドットがぼやけてくるといった状態です。ぼやけても見た目には不自然な感じは 全くありません。欧米人の頭皮にはにこういう傾向は多くそれでも見た目は 普通の髪のあるスキンヘッドにしか見えません。 それでも気になるようなら1年に1回程度のメンテをお勧めしています。
YouTubeでも我々HIS以外の他社が施術している動画がいくつか見られますが いつも気になる点があります。 それについては私の友人の腕のいい彫り師(2012年1月6日の記事)も同意見でしたがやはり部位は違えど体を彫るといった日本古来からの伝統的手法且つ繊細な作業はやはり外人よりも日本人のほうが向いているんじゃないかと個人的には感じてしまいます。
|