№693 純喫茶磯辺

　０９年７月１７日鑑賞。
０９年２０２本目。

　いや、文句なく面白い映画だった。

　この映画は、主に高校生の娘（仲　里依紗）
から見た大人たちの世界を描いたモノなんだけど、
この仲　里依紗という女優がまたうまいんだわ。
ダメを絵に描いたような父親（宮迫博之）と、

なぜか一緒に暮らしているんだけど、それが

なぜ母（濱田マリ）とではないのか．．．
その理由が演技を通してわかってくるのだ。

ぶっちゃけた話し、真反対のようで、ものすごい

似たもの親子なのだ。それもバカなところが

そっくりというか、娘も父も己のバカさ加減に

気がつかないで、突っ走っていっちゃうと

言うのが、最高におかしくて、ちょっぴり悲しい。

　正直、仲　里依紗という人は全く知らなかった

（後で思い出しました。アニメ「時かけ」の主演

のコでした！！）んだけど、バイト役で父親が

思いを寄せる女性（麻生久美子）と丁々発止で

やり合うあたりただ者ではない！！

すごい天才がいたモノだ。

　物語は祖父が死んで遺産が転がり込んできた

父の、全くの思いつきで開業した「純喫茶磯辺」

を巡る物語。まあ、ここの客が一癖もふた癖も

あって、台詞が全く同じな客（斉藤洋介）とか、

マスターと間違えられる貫禄のカウンターの

客（ミッキー．カーチス：なんと台詞なし！）とか、

ロリコンの文学者崩れとか、セクハラ親父

（ダンカン）とか、まあすごいキャスティング！！

　加えて、ハリセンボン春菜とか、あべこうじとか

いったメンツが画面を飾っている。役者に混じって

芸人勢の健闘も光っている。

　特筆すべきはやはり麻生久美子だろう。

この人、「サーフェス　ペルシャの歌」では、

イラン人の中に混じって、イラン人役で通していた

くらいの「なんでもこなせる」女優さんなんだけど、

今回のヒロインも、まあ煮ても焼いても食えない、

人の心がわからない、どうしようもない女という

のをものすごーくリアルに演じているのだ。

　真の意味で罪の意識のない「悪い女」っていう

のはこういう人のことを言うんだろうなあと

思わせる熱演ぶり。しかもなんか「小悪」

なんだよね。スケールが。そこがまたいい。

加えて、マスターが悪のりで考えたコスプレ姿

で接客するシーンなど、ツボも心得ている。

むしろノリノリでやっている感じがあって、

見ているこっちも思いっきり振り回される。
それがまた楽しくて、許せちゃう。

　本当に不思議なキャラクターをたたせて

しまったなあという、ただただ感心するしか

ないのだ。

　宮迫博之のダメ親父というのは、はまり役

だと思うけど、ただのダメな親父ではなく、

年頃の娘にどう接していいのかわからない

男親を見事に演じきっている。

血のつながりはないのに、本当に親子に

見えてしまったのは、この人の功績も

見逃せないモノがある。

　これ、是非見ていただきたい。
本当の傑作。泣き笑いできる上質

の喜劇だから。

　お笑い好きもそうでない人も大好きに

なれると思う。

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