第45話「秘密Ⅰ」
それからの俺は、本当に忙しくて・・・
いよいよ一般入試を迎える生徒たちのラストスパートにむけて、
すべての時間を注ぎ込んだわけであり・・・
「せんせぇ・・・会いたいよぉ・・・」
そ、そう言われてもなぁヽ(;´Д`)ノ
仕事をようやく終え、クタクタにならながら帰路につく中・・・
いつものように静香から電話があって・・・
いつものように
甘えられるわけであり・・・
お、俺だってな・・・
お前に会いたくて
仕方ねぇんだよぉー!!
今までの想いすべてを抱きしめて・・・
そして、今こそ通じあいたい・・・
俺たちの気持ちを・・・
「せんせぇ、優香、第一希望ダメだったんだって?」
「うん。本人から聞いたの?」
「ううん、智恵から・・・。
優香とは最近あんま喋ってないんだ。」
「そっか・・・」
優香のヤツ・・・結構落ち込んでたよなぁ・・・
つうか、ろくに勉強してこなかったくせに、
落ち込むことじたい100年早いっつうんだよ。
自分の実力よりはるかに高いところを受けちゃってさ、
お前にゃ、落ち込む権利すらねぇっつうの。
ただの自業自得じゃねぇかΨ(`∀´)Ψヶヶヶ
とはいうものの・・・
やっぱ落ちたショックってのは分かるしなぁ・・・
あいつ・・・
静香が合格したってのを聞いて、
「へぇ・・・良かったねぇ・・・。」
といいつつも、そんなに嬉しそうな顔も見せなかったし。
性格が悪いっていうんじゃなくて、
友達だけがどんどん先にいってしまったような気がして
ショックだったのかもしれないなぁ・・・
「まぁ、あいつも今は、都立にむけて頑張ってるしな。
だから、静香も応援してやってくれよな。」
「うん。励ましてあげられるといいんだけどね・・・。」
ホントに静香って優しいヤツで・・・
「お前ってさ・・・」
電話口でぽそっとつぶやくと、
「え? な、なに!?」
「いや・・・ホントいい子だな。」
一瞬、会話が止って、でもすぐに静香が笑いだして・・・。
「もうやだぁ、先生ったら。
何言い出すのかと思っちゃった。」
そんな照れ隠しの笑い方がまた可愛くてさぁ・・・
ああ、もう!!
今すぐにでも飛んで言ってさ、
抱きしめてやりてぇ・・・
(*´д`)アハァ
おっといけねぇ、電車が来ましたよ・・・
「静香、悪いけどさ、電車来ちゃったしさ、また今度な。」
「えええええ!? もう・・・切っちゃうのぉ?」
そ、そんなに悲しそうな声を出すなよぉ(汗)
俺だってな、お前といつまでも話しをしていてぇよ。
でもよぉ、こんな混み込みの電車の中で、
携帯を喋り続ける勇気なんて俺には無いんだよ。
頼むよ、俺の立場も分かってくれよぉ・・・
「せんせぇのバカァ・・・」
バ、バカ!?
ヒ、ヒドイ・・・
_| ̄|○
こんなにもお前のことを想ってるっていうのに・・・(涙)
「全然会ってくれないしさ、
最近の先生、意地悪だよ・・・。」
い、意地悪だなんて、そこまで言うかぁ!?
そりゃないでしょ・・・
俺が今、メチャクチャ忙しいの知ってるでしょ?
「そ、そんなこと言うなよ・・・。
もうちょっとしたら会えるからさ。」
「嘘だ!! いっつもそう言ってる。本当に会えるんだったら、
何月何日何時何分何秒に
会えるって言うんですか。」
お、お前はガキか!!
(;゚Д゚)
嗚呼、もうっ!!
「分かったよ、分かった。
じゃあ、次の・・・いや、再来週の日曜日だったら・・・
うん、なんとか時間作れると思うから。
あ、やべ、ホントに電車きたからさ。」
「先生、約束だよ!? 絶対だからね。」
あいあい・・・約束・・・。
破ったりしたらとんでもないことになりそうだよね・・・
とんでもないプレッシャーだよ・・・
「じゃあな。」
「バイバイ、先生、愛してるよ♪ ブチッツ」
だ、だから・・・
最近の君はどうしてそういう恥ずかしいことを口にするんですか!?
オッサンには耳がこそばゆすぎて死にそうだよ・・・
半ば強引にデートをさせられることになりました(汗)
確かに、静香と会えるのは嬉しいしさ、
楽しくデートが出来るぶんには大歓迎なんだけど・・・
高校に合格したばかりの静香と会えば・・・
彼女がどういう行動に出てくるのか・・・
予想がつくわけであり・・・
《せんせぇ・・・私が受かったら・・・改めて告白するね・・・》
もう・・・
本当のことを言うしかないんだろうか・・・
静香・・・
お前に会いたくて会いたくて・・・
お前のことを本当に好きだって気持ちに・・・
ようやく気付いたというのに・・・
だけど・・・
これ以上・・・
いい加減なことも出来ない・・・
俺は・・・
どうしたら・・・いい・・・?