第42話「合格発表Ⅰ」
ようやく終わった静香の入試・・・。
もちろん結果が不合格だった場合は、
併願推薦や一般入試も受けなきゃいけないんだけどねヽ(;´Д`)ノ
でも、とりあえずは無事に入試が終わって、
正直ホッとしました。
・・・なんて言ってられるかっ(汗)
だって合格発表は入試の
翌々日なんだよぉ!!
最近の入試では、午前中に試験して、
その日の午後には結果が出るなんてことも
結構当たり前になってきたんです・・・
塾講師にとってこの時期はいつも気がぬけません。
実際、試験の結果を気にしている生徒は静香だけじゃなく、
他にもたくさんの生徒たちがドキドキしながら待っているわけで・・・
無論、俺たち塾講師も自分の担当の生徒たちの結果を
今か今かと待ち続けているのです・・・
本当に・・・
みんな、いい結果を出してほしい・・・
な~んて思ってないけどねw
ごめん、お前ら、今年だけは静香のことだけで頭が一杯でさ。お前ら適当に合格しちゃってくれよ。俺の静香の受験が無事に終わったら、しっかり考えてやるからさ。
俺の静香に万一のことがあれば・・・
俺は・・・
俺は・・・
「こんにちはぁ。」
静香が塾にやってきました。
他の先生たちも声をかけます。
「おう、小川、どうだった? 緊張しなかったか?」
「はい。全然平気でした。」
よくもまぁウソつけるなぁ・・・
涙ぐんでパニックになってたくせに(゜m゜*)プッ
静香の方をちらっと見ると、静香も俺の方をチラッと・・・。
唇だけを動かして
(・・・う・・・そ・・・つ・・・き・・・)
すると・・・
静香のヤツ、しかめっ面をするんだもんヾ(´▽`)
あははははは。
俺の言いたいことが分かったみたいだねぇ。
「べ~だ」
もうホンットに可愛い♪
表情だけでアッカンペーをする静香の振る舞いも、
そのあと恥ずかしそうに笑う仕草も何もかもが可愛いよ♪
一通り他の先生たちと話を終えた静香が
俺の机の側までやってきまして、肩をもんできます。
「先生、お忙しそうですねぇ。」
「・・・そうだね。もう忙しくってねぇ。
おっと、君、試験だったっけ?」
「ひっど~い。先生って担任のくせに、
可愛い生徒の試験日を覚えてなかったんですかぁ?
あ~あ、一生懸命やってきた甲斐がないなぁ。」
君もまあよくそんなこと言えるねぇ・・・。
静香と視線があって・・・
静香がぷぷぷって笑いを我慢できなくなったみたいで。
「ば、バカ。こんなところで笑うなよ。」
「ごめんなさ~い。もう大丈夫です。でも・・・おかしいね。」
ホントにもう・・・ヾ(´▽`)
「学校行ってきたのか?」
「はい。今日は報告だけ。
家に一度戻ってそれからすぐに来たんですよ。
偉いでしょ、わたし。」
そりゃさ、学校から直に来てないことぐらいすぐに分かるよ。
だって・・・
お前、制服着てないもん・・・
何だか、先生悲しい・・・
「すぐに塾に来るなんて偉いねぇ。
じゃあさ、さっそく都立に向けて勉強しますか。」
「えええ!? 何でぇ!?
だって試験が終わったばっかりだよぉ。」
「合格がでるまでは受験は終わってないの。
そのために塾に来たんでしょ?
ほ~ら、自習室に行った行った。」
「う~。」
口をとがらせて無言の抗議をする静香ちゃん・・・。
あははは、コイツをからかうのもホント楽しいよなw
「うそうそ。冗談に決まってるだろ?
さすがに今日は緊張して疲れちゃったよな。」
「そうだよぉ。ホント先生ひどいんだからぁ。」
うん。ホントに今日までよく頑張ったよ。
一生懸命やってきたよね。
お前は・・・
やれることは全部やったと思う。
面接も何度も練習したし、
作文も毎日頑張ってた。
どんな結果になったとしても・・・
決してガッカリすることはないと思うから・・・
「静香・・・」
「え?」
彼女は俺の机の上の高校ガイドを手にとって、
パラパラと見ていたんですが・・・
「何ですか?」
「明後日・・・だな・・・」
「うん・・・」
明後日になればすべてが分かるわけで・・・
君と心から一緒に笑える日が来ることだけを・・・
ただ願うだけだよ・・・
「せんせい・・・」
今度は静香の方から口を開いてきて・・・
「ん?」
「今日は・・・塾終わったら・・・会ってもらえますか?」
俺には・・・
どれだけ考えようとも・・・
たった一つの選択肢しかなかったわけで・・・
「うん・・・いいよ・・・」