遅ればせながら謹賀新年でございます。
今年もよろしくお願い申し上げます
年末、結局大掃除のみ、しかも大幅にやり残し今日に至ります。
年末に漬けようと買っておいたニシンを昨日、やっと漬けました。
ニシンずしです。
一週間もすると食べられるでしょう。
ニシンをつけると思い出すのは、緑内障で視力を失った私のひいばあちゃんとニシンずしを狙う狐の攻防。
不思議なばあちゃんで、間違いなく目が見えないのに雲のある場所を当てたり、龍の乗る雲の話をしたりと目が見えない分、違う世界を覗いているようなばあちゃんでした。
そのばあちゃんの目がまだ見えていたある年の冬、本家であるうちは正月のお客様を見越してニシンの寿司を何樽も漬けておいてあっ たそうです。
そして、漬物は臭うので漬けもん小屋という別の建物に保存しています。
それを、ニシンの匂いに気がついた狐が全て食べてしまったそうです。
何度つけてもやられて腹に据えかねた
ばあちゃんは一計を案じ、漬物小屋に入れてあったニシンずしの樽を家のお勝手に持ち込みました。
重しの下の蓋に縄をつけ、持ち上がると上から石が落ちてくるように仕掛けをして狐が来るのを待ちます。
外が薄暗くなった頃
カサカサと外を走る音がします。
ばあちゃんはきたな、と思いつつゴロンと横になって様子を伺います。
狐はいつもの漬物小屋にニシンの樽がないことを知り、匂いを嗅いでお勝手にやってきました。
こんまんわ~
こんまんわ~
おかちゃん、にしん漬かったかなぁ
と、聞いてきます。
ばあちゃん曰く
狐が人に化けてしゃべるときは鼻声になる
そうで、すぐにわかるんだそうです。
ほやなぁ。もうちっとや、まだ硬いわ。
ばあちゃんは答えます。
狐はよく漬かったニシンよりまだ硬いニシンが食べたいのです。
ほーけなぁ
と狐は返事をして出ていったふりをしたそうです。
ばあちゃんは狐がまだお勝手にいることを知りながら
どら、しぇどのうりや(裏の畑)にいってこ
とわざとらしく玄関から外に出ます。
手にはツンバリ棒(昔は引き戸をこの棒でうちから斜めに突っ張らせ錠にしたのです。)を持ってお勝手の外に回ります。
ガラガラ、ばーん!
と音がしたのでばあちゃんはすぐさまお勝手に入ります。
そこには頭を樽の中に入れたまま石に押さえつけらた狐がもがいています。
人間が来た気配からなおもがきますが、なかなか抜けることはできません。
もう悪させんかー!
もうこんかー!
とばあちゃんはツンバリ棒で狐をつつきます。
狐は
もうせん、もうせん、もうこーん!
と、逃げていったそうです。
以来、狐はニシンずしを取りにくることはありませんでした。
めでたしめでたし!
今年、年末年始、たくさんハマチをいただいたので、そのアラを裏の畑にまいてやります。
雪の上にある隣の家の方からきてる小さな足跡はハクビシン。
下の川の方から上がってきてる足跡は狐。
モグラや野ネズミをとってくれればいいんやけどなぁ