あれから結局、
米女優のアンジェリーナ・ジョリーさんは、卵巣の予防切除も予定しているという記事が出たようですね。
将来乳がんになる確率87%に比べたたら、卵巣がんになる確率50%は低いといえども、
2分の1という確率で大きなリスクが生涯付きまとうわけですから、
不安要因を取り除くためのごくごく妥当な選択だと、同じBRCA1遺伝子を持つ私は感じています。


ところで、彼女の報道がされてからというもの、
“未発症の乳腺や卵巣をわざわざ切除する必要があるのか?”
というアンチな意見も多々あるようですが、
乳がん卵巣がんの本当の恐ろしさを知らない方々にとっては、やはり対岸の火事なのでしょう。


まぁそれも致し方のないこと。
様々な意見がかわされてこそ、HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)の事が
多くの人々に周知されてゆくのでしょうから、その一過程だと思えば・・・。




【若くして発症するBRCA1】

さてアメリカの研究では、乳がん卵巣がん患者の5~10%が
HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)と考えられているようです。
遺伝子カウンセリングで伺ったS准教授のお話によると、
BRCA1とBRCA2のふたつの遺伝子変異のうち、
BRCA1の病的変異を持つ人は、比較的若くして病気を発症することがわかっています。

まさしく我が家系はそれに当てはまっていて、
卵巣がんのを罹患した3人は40代で発症、(そのうち私は40前半で発症)
乳がんを罹患した1人は40代、もう1人が30代前半で発症と、
5人とも若くしてがんに罹っています。




【遺伝する確率】

遺伝子カウンセリングでは、家系図を作成して、
どこからBRCA1変異の根元になっているかを検討するのですが、
我が家系では、私の母方の祖父がきっかけになっているだろうという、S准教授の見解がありました。


その祖父は短命で、姉妹兄弟もみな若くして亡くなりました。
今となっては解りませんが、
短命一族の理由は、BRCA1遺伝子変異が関係していたのかもしれません。


そして祖父から血を受け継ぐ6人の女性全員に、
BRCA1の遺伝子変異が遺伝していることが、今回の遺伝子検査であきらかになりました。
BRCA遺伝子変異は二分の一の確率で子供に遺伝しますが、
もはや二分の一どころの話じゃありませんな!(;°皿°)


さてこのBRCA1遺伝子変異を持っていると、乳がんを発症する確率は87%、
卵巣がんを発症する確率は50%というのは、
アンジ―のニュースでも大きく取り上げられたので、周知のことと思います。
ウラを返せば(というか楽観的な見方をあえてすれば)、この遺伝子変異をもっていても、
運よく一生、乳がんや卵巣がんに罹らない女性もいるというわけです。


しかしながらです!!!!
我が家系では、6人のBRCA1遺伝子保有者のうち、
5人が乳がん卵巣がんに罹患してしまったという高確率っぷり。
6分の5で病魔にあたってしまったという悲しい結末になってしまいました。
これが宝くじならすごいことなのにね。(ぶーぶーヾ(。`Д´。)ノ=з)


ところでこのBRCA遺伝子変異は、女性だけのものと考えられているかたもいるようですが、
実は男性にもひきつがれるもので、
前立腺がん、大腸がん、すい臓がん、男性乳がんに罹りやすくなるのではといわれています。
(※このあたりは研究中で、はっきりと立証されているわけでないようですが…。)


心配をあおるわけではありませんが、もしも家系にこの種類のガンが多発していて、
あなたご自身が卵巣がんや乳がんに罹っている場合には、
HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)を疑ってみてもいいかもしれません。
(※詳細は遺伝子カウンセリング等で専門家の話お聞きください。)




【連鎖を断ち切る手段】

もしもBRCA遺伝子変異が検査で判明した場合には、
定期的ながん検診を行って、早期発見のためのフォローをおこないます。
日本では乳腺科で半年に1回、婦人科で3カ月に1回の検診が推称されているようです。
それでも特に卵巣がんは早期発見が大変難しく、
定期検診を欠かさずおこなっていても、発見時には根治困難な状態になっていることも多い、
“サイレントキラー”の異名を持つがんです。


そこでBRCA遺伝子変異を持っている患者さんに、予めこれらを切除しておく手術が、
「リスク低減両側卵巣卵管切除術」です。
(正式名称は長いので「卵巣予防切除」と呼ばれていることが多いようです。)


米国の医療機関が作成しているNCCNガイドラインでは、
理想的には35~40歳の間に、出産の完了に伴って、
あるいは家系内の最も早い卵巣がんの発生年齢に基づいて、
「リスク低減両側卵巣卵管切除術」を勧めています。


5月24日付の読売新聞では、
国内で先駆けてこの手術を行っている、
あるいは計画している病院施設名が掲載されていましたが、
「乳房切除は16施設、卵巣卵管手術は21施設」と、
まだまだ少ないなぁ…というのが私の印象です。


実際にこの切除手術を行うには、倫理委員会の承認を得ることが必要だそうですし、
卵巣予防切除手術は自費診療で、約100万円~の高額な費用が必要となっており、
“遺伝子検査”とともに、まだまだハードルが高いようです。
それに卵巣を切除すると妊娠出産が難しくなるので、
子供を望む方は人生の設計図が重要になってきますし……(*v.v)。


そんなハードルがありつつも、
これからますます、この手術を希望する人は増えていくのではないでしょうか。
遺伝によるがんの連鎖を止められるものならば、
卵巣予防切除の選択肢があってしかるべきだと、私は思いますし、
その選択が実施できる医療機関が増えていくことを、心より切望いたします。
願わくばひとりでも多くの命が救われんことを!




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私にはなぜ、
がんの連鎖を止める手段を選べなかったのか!
悔しいばかりのその思いが、
今もくすぶるように心に残ります。
(●´ω`●)ゞ