屋上からのLINE | 『 自死の明日 』~夫を亡くして、どう生きていったらいいのか探している自死遺族のブログ

『 自死の明日 』~夫を亡くして、どう生きていったらいいのか探している自死遺族のブログ

2016年6月に夫が自死。
私たちは高校の同級生でした。
深い悲しみと自責の思いは消えることはありません。
いまは何とか生きてるだけの日々です。
混沌としたいろいろな思いの中から少しずつ書くことで
どう生きていくのか探して行ければと思います。


今日は休みで、『べっぴんさん』をゆっくり見たら、今日は私にとっては見ないほうが良かった回だった

…今まで夫婦でよく頑張ってきたねと、それぞれの夫婦が振り返る回

普通にホームドラマとしては、いいシーンなんだろうけど、つい横目で見てしまう

私は何ですか?
乗り越えられなかった夫婦?
悲しい淋しい気持ちで見終えて…


WBCの準決勝を子どもと観て、
お父さんがいたら一緒に観たのかな、それとも選手に比べて自分が情けないと、彼はまた比べても仕方ないことに落ち込んでいたのかなと、どっちなんだろうと考えていた

「第一回の疑惑の判定で話題になってWBC観た時って、スキー場でお昼食べた時だったね」

と思い出して子どもと話しながら観ると、TVでも懐かしい映像が流れていた


残念な結果に終わり、ふと玄関横のユリの芽が出ていたことを思い出し、屋上のユリもどうなっているだろうと屋上に上がった

あの日から、この屋上に上がるのを極力避けてきた
彼がおそらく遺書を書いた日に、屋上に上がっていたから

その日、昼休みにLINEが来た
「ありがとう」
え?なに?と聞いたけどそれには答えず、
「屋上は蒸し暑い」
何で屋上?と聞いても、何となく、と
「風が気持ちいい」

あの日に遺書の下書きを書いていた
死を決意して言葉に現した日
どんな気持ちで決意して
どんな気持ちで書いて
どんな気持ちで屋上の景色を眺めたのだろう

そして私にLINEしてきた

ちょっと変かなと思った
まさかねと一瞬よぎったけど、高いところは嫌いな人だから違うと思った
だから、何でもないと言うのをそのまま信じた
花ちゃんを遊ばせるためだけだと思った

あの時、おかしいから帰るって、すぐに早退してたら、私に話してくれたのかな

なんか心配で帰ってきたよ、大切な存在なんだよと伝えていたら…

自分が決意した恐ろしいことを、思いとどまってくれたのかな

あの日から10日ほどして、決行してしまった
どんな思いで過ごしていたの?


そういうことを思い出すので、屋上にはあまり来なかった
プランターは草だらけ、排水口も掃除して一通りキレイにしたけど、やっぱり気持ちは落ち込んだまま

ごめんね
どうしたの?ってすぐに帰ってあげなくて
決意するまで、苦しんで…
言葉に書いたあともおそらく苦しんで…
そんなこと何にも知らずにいた自分が許せないまま、今に至ってる

前に向かなきゃと頑張っても、ただこの屋上みたいに避けてただけだった
たちまち、引き戻されてしまう

今日もそういう日かも
べっぴんさんもWBCも、たまたま気持ちが落ち込む伏線になって、さらに地雷に突っ込んでしまった


ごめんなさいが止まらない
乗り越えられなかった私
だけどやっぱり同時に感謝の気持ちも出てくる
今日はごめんなさいとありがとうを並べる日

べっぴんさんみたいに、二人で語り合うことはもうできないから

静かに思うだけ







最後まで読んで頂いてありがとうございました