5.アイデアを得るには、問題意識を持って、それに関連する情報を集める「準備期間」が要る。
さらに、アイデアを寝かせて発酵させる、「熟成期間」が要る。
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「準備期間」と「熟成期間」、これをどう効果的に短縮するかが、クリエイティブな仕事をするうえでのポイントではないかと思います。
まず「準備期間」についてですが、これはWebの発達により、20年以上前とは比べものにならないくらい時間の短縮ができるようになりました。
Googleによるキーワード検索で、ある程度の情報は手に入ります。
画像検索もあれば、動画がYouTubeにアップされていることもあります。
書籍についても、アマゾンなどでは目次やレビューから、ある程度内容を判断することができますし、仕事が忙しくて書店に行けなくても、取り寄せることもできます。
こうした時代ですから、Webを用いて情報を集めるスキルというのも、ある程度マスターしておく必要があります。
また情報というのは、問題意識とか興味を持たないと集まらない性質があります。
何かに問題意識とか興味を持った時には、ある程度の期間、集中的にその問題に関する情報を集めて学んでおくと、将来の役に立つことがあります。
今「将来の」と書いたのは意味がありまして、特に創作において難しいのは、「今興味を持っていることを書くと、情報が生すぎて、押しつけっぽくなる」ということがあるのです。
つまり「熟成期間」を経ていない、わけです。
お米がお酒になってない。
葡萄がワインになってない。
大豆が味噌になってないわけです。
調べたことが、そのまま「受け売り」「付け焼き刃」の状態で出てしまうと、読んでいて違和感が出てしまうのです。
一生懸命調べている状態では、まだ作家の中で消化され、「自分のもの」になっていないのです。
だから、「どうです、こんなに調べました。偉いでしょ?」みたいなところがでてしまいます。
隙をなくそうと書けば書くほど、読んでいて違和感を感じるのはそのためです。
逆に、知識が作者にとって「当たり前」なレベルにまで消化され、吸収され、熟成されると、わずかな描写でも違和感がなくなります。
常識と違った描写をしても、説得力があります。
ただ、この「熟成期間」というのは、どうしてもある程度の時間……数週間から数年……はかかります。
「知識」なり「情報」なりが、自分の中でしっくりくる時間というのは、なかなか短縮するのは難しいように思います。
(何かいい方法がありましたら、教えて下さい!)
故に、できるだけ将来を見据えて、将来書きそうな作品に関する情報は早めに集めて仕込んでおき、熟成させておく、というのが「作家におけるダム経営」となるのかもしれません。
ある小説家の方は、いつも30本分くらいの作品の準備を平行して進めていると読んだこともあります。
このあたりは、学んでゆきたいですね!
土佐広