今回は株式投資型クラウドファンディング 誕生までの歴史を書かせていただきます。
1983年(昭和58年)、それまで証券会社ごとのルールで、上場していない一般企業の株が店頭で売ったり買ったりされていました。通信の発達で証券会社横断的に売買が活発化しつつあった頃、業界が全国横断的自主ルールを統一し、店頭市場と呼ばれるようになりました。
のちに自主ルールは法律化され、現在のJASDAQ(東証ジャスダック市場)に昇格しました。
店頭市場が上場マーケットに昇格するにあたって、従前の一般企業(上場していない企業)の資金調達や株式売買の自主ルールとして登場したのがグリーンシート市場でした。西暦2000年(平成12年)の頃のことです。
グリーンシートは株式公開でありながら法律上は一般企業という扱いでした。2008年のリーマンショックで証券業界が痛手を受けた時に実質的に機能停止を余儀なくされ、2018年に正式に廃止されました。
廃止の背景には2007年頃から未公開株詐欺が社会的な問題になりはじめ、ついには証券会社の社長が詐欺事件で逮捕されるという事態にいたり、証券免許を付与した金融庁と管理責任者の日本証券業協会が大失態を演じたという事情があるようです。
その後、10年近くにわてって、開業資金の調達は国策銀行と保証協会に頼る昭和時代の古い制度に逆行し創業拡大に無策な状況が続きました。
状況が変わったのは、第二次安倍政権の誕生でした。アベノミクスを打ち出し、経済活性化に不可欠な創業者の拡大策の一貫としてグリーンシートに代わる一般企業の直接金融(増資)活用制度が検討され、グリーンシートが持っていた資金調達機能と株式売買機能の分割し、前者を株式投資型クラウドファンディンが、後者を株主コミュニティー制度が担う制度が改正金商品取引法を成立させました。
そして2017年株式投資型クラウドファンディング (IFO)の第1号が誕生しました。
第1号誕生から1年半で約70社がIFOを実施し、平均3000万円ほどの資金調達に成功しています。毎月2社のペースで公募開示を果たしています。(2019年3月現在)
現在、IFOの認可を受け営業中なのはわずかに3社、株主コミュニティーに至っっては実質1社。監督官庁は投資家保護を強めるあまり経済活動は鈍いままです。そうしている間にも投資意欲が旺盛な資金は監督外の場所で詐欺事件の被害に遭っています。
詐欺投資事件が絶えないのは、世の中にハイリスクハイリターンを求める一般市民が多数いる証しです。そうした資金の正当な受け皿として、株式投資型クラウドファンディング が企業にとってもプラットフォーマー(証券会社)にとっても使いやすい制度にすることが求められています。
まともな企業にリスクマネー資金を還流するためディレギュレーションが期待されます。