フィギュアスケート四大陸選手権(ISU ISU Four Continents Figure Skating Championships 2010)。女子シングルショートプログラム(SP)で57.22点を記録し3位につけた浅田真央Mao Asada)。

「跳べない真央」回転不足 五輪へ鬼門SP3位…フィギュア



 ◆フィギュアスケート 四大陸選手権(27日、韓国・全州) 女子ショートプログラム(SP)を行い、バンクーバー五輪日本代表の浅田真央(19)=中京大=はトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で回転不足を取られ、57・22点で3位発進となった。29日のフリーは2回の3回転半に挑み、五輪へ勢いをつける逆転優勝を狙う。五輪代表の鈴木明子(24)=邦和スポーツランド=が58・88点で首位に立った。



 演技後の真央の笑顔は一瞬で消えた。五輪へ会心の演技とはいかず、「跳べない真央」がまた顔をのぞかせた。冒頭で挑んだ大技のトリプルアクセル。壁に対して垂直に滑るよう修正した助走で勢いをつけて跳び、高速回転で着氷。だが、昨年末の全日本選手権のSPと同様に、わずかに回転不足と判定されてしまった。



 さらに次の3回転フリップが1回転になる致命的なミス。2つのジャンプの失敗だけで10点近く失った。「一番得点の大きい2つのジャンプを跳ぶことができなかったのが原因だと思う。五輪の前にミスをしておいてよかったなという気持ちもあるけど、すごく悔しいです」。真央は視線を下に落とした。



 五輪イヤーの2010年初戦。今季序盤から出遅れが続いた鬼門のSPで、わずかな不安が演技に出た。「フリップはシーズンに入ってから調子が良くなかった。修正したつもりだったけど、少しタイミングが合っていなかった」と明かした。



 3回転半は前日の練習で17回中14回成功するなど好調のはずだった。真央も「(完ぺきに)降りたと思った」と自信を持っていたが、“鬼ジャッジ”の厳しい判定が下された。さらに規定時間の2分50秒を1秒オーバーし、1点減点されるミスまで犯してしまった。



 それでも表現力を示す5項目では出場選手の中で唯一、ハイレベルな7点台を4つそろえて格の違いを見せつけた。韓国のネット上で真央への嫌がらせ予告が書き込まれたことで演技妨害も心配されたが、韓国ファンからはブーイングではなく温かい声援が送られた。



 今季はここまでの4試合で、1度も完ぺきにSPを滑り切ることができなかった。あと1か月を切った五輪本番へ不安はぬぐい切れないが、立ち止まってはいられない。首位の鈴木とは1・66点差。29日のフリーは「今できる最高の要素で臨みたい」と、2回の3回転半を組み込むことを明言。不在のタラソワ・コーチ(62)からは「勇気を持てばうまくいく」というメッセージをもらった。恩師の言葉を胸に、攻めの姿勢で逆転Vを狙う。