エシカル(ETHICAL)-「倫理的」や「道徳上の」という意味合いから、環境問題にとどまらず女性や貧困の問題など広く社会問題コミットするのがエシカル。商品の送り手だけでなく、受け手である消費者の意識の高まりがあってはじめて成り立つ。エシカルファッションにも注目が集まっている。



Voice 1 キャサリンハムネットさん「ファッション業界も責任ある行動を」



 「ファッションビジネスは、社会的に影響力のある産業ですから私たちは社会にも環境にも目を向けなければなりません。例えば、農薬は虫だけでなく微生物まで殺してしまい、人間にも有害です。また、貧しい農家が高価な農薬を購入するのは過負担で貧困に拍車がかかります。消費者も、どのブランドを買うかでなく、どういうところで、どのように作られたものであるかに関心を持ち始めています。最初はコストがかかることであっても、長い目で見れば良い方に返るはず。100%環境に優しいものを作るのは難しいでしょうが、100%に近づけようという姿勢は持ち続けたいと思います」



 「キャサリン・E・ハムネット」は、キャサリンハムネット(Katharine Hamnett)が03年にデビューさせたブランド。自身のブランドネームの間に置いたEは、自身のミドルネーム頭文字であり、倫理的(Ethical)、環境(Environmental)のそれでもある。Tシャツパーカなど環境に優しい商品を展開しているが、日本での本格展開はこの秋から。メンズシューズからスタートする。



Voice 2 ピープルツリー代表 サフィア・ミニーさん「ファストではなく、スローファッションを」



 ファストファッションが人気だが、今から15年ほど前に「ピープルツリーPeople Tree)」を立ち上げたフェアトレード(公正な商取引ファッションパイオニアピープルツリー代表のサフィア・ミニー(Safia Minney)さんはブームに強い疑念を持っている。

   

 「メディアは3万円の商品が3000円で売られているかのような報道は止めるべき。こんな時代に2、3回着たら捨てる商品でいいのか。どこで、どういう方法で作っているかなど不透明だし、経済的に余裕のある人までがファストファッションに走るのは業界にとってもマイナスでしょう。オーガニックコットンや手織りなど、CO2排出量の少ない生産方法を推進することにより、環境を保護しながら多くの雇用機会を創出することができます。手織り機1台あたり年間1トンものCO2排出量を削減できます。1000万人のフェアトレードの手織り職人を雇うことができれば、クリーンエシカル、かつサステイブルサプライチェーンを提供できるだけでなく、年間1000万トンのCO2を減らすことができます」 (c)senken h