日本郵政:ローソンと提携 800の“コンビニ局”開設へ



握手を交わす日本郵政の西川善文社長(右)とローソンの新波剛史社長

 日本郵政とコンビニエンスストア大手ローソンは12日、共同出店や商品供給などで包括提携したと発表した。今後3年をめどにコンビニ併設の郵便局を800店展開するほか、全郵便局の4割強に当たる1万局で菓子類や日用品などのローソン商品の取り扱い開始を目指す。両社は資本提携も検討するという。

 コンビニ併設店は、郵便局の空きスペースにローソンが出店するほか、現在閉鎖中の簡易郵便局をローソンの店舗が運営する形でも出店する。また、ローソン店内に郵貯ATM(現金自動受払機)の設置を積極的に進めるほか、郵便局員によるコンビニ商品の配達なども検討する。

 昨年民営化した日本郵政は、郵便局にコンビニ機能を持たせることで収益力を高めるとともに、過疎地などで簡易局の運営をローソンに委託して郵便局網の維持につなげる狙い。ローソンも集客効果が期待できる郵便局との共同出店で、店舗網の拡大を図る。

 両社は02年12月に一部業務で提携しており、ローソン店内に郵便ポストを設置したり、コンビニ併設の郵便局を試験的に展開してきた。東京都内で会見した日本郵政の西川善文社長は「提携で真に強固な郵便局ネットワークを構築する」と抱負を述べた。

 ◇課題は店舗条件

 日本郵政がローソンと共同出店や商品供給の拡充を柱とする包括提携を行うのは、全国の郵便局網を維持するため、過疎地も含め郵便局の収益性を上げる必要があるからだ。ローソンの店舗経営のノウハウを導入し、両社のインフラを活用して、経営が厳しい郵便局などの収益改善に役立てる考えだ。

 郵便局の数は1月末現在で2万4097局と、昨年10月の民営化時より19局減った。とくに、窓口業務を自治体などに委託している簡易局の減少が目立つ。これを、「簡易局の局長がローソンの店長を兼ねる」(西川善文・日本郵政社長)ような形で共同店舗として展開することを想定している。

 中高年層の利用が多い郵便局だが、コンビニとの共同店舗で若者の集客も期待できる。菓子や映画チケットなど、ローソンの商品を郵便局に積極的に導入する考えだ。

 ただ、共同店舗の条件がどれだけ整うかが課題になる。両社の共同店舗は現在、5店舗だけだが、新浪剛史ローソン社長は共同店舗を3年間で800店舗、商品供給を行う郵便局は1万局を目指すとの意向を示した。共同店舗を実現するには店舗のスペースや建て替えの時期が合わなければならない。西川日本郵政社長は「積み上げた数字ではない」と述べるにとどめた。

 日本郵政は、郵政事業庁時代の03年1月、ローソンの全店舗内に郵便ポストを設置。04年11月からローソンでゆうパックの取り扱いを開始した。06年10月からは、輸送コストを抑えるため、一部の地域で郵便物と店舗商品の共同配送も行っている。毎日新聞