ゆりままさんのブログで『シンタのあめりか物語』という本が紹介されていたので、図書館で借りてきて読みました。

読みながら、あまりにも自分とシンクロしすぎて、途中から恐怖すら感じました。

ゆりままさんも「まさに　ワタシが　この中にいました」と太字の大文字で語られていますが、

いやほんとにそうです。

これ、ほんとに日本の児童書なの！？と思うほど、

内容がリアルすぎて気分が悪くなるくらい、

飾らない現実が忠実に描写されているんです。

家族がストレスにさらされ、爆発したり、引きこもったり。

これからアメリカに行くっていうご家族は、

読まない方がいいんじゃないかくらいシビアな内容です。

以下、がっつり本書の内容含みます。※ネタバレ注意です。

主人公のシンタ（小3）、お姉ちゃんのミカ(小6)、お父さん、お母さん、犬のペロ

”家族でアメリカに引っ越した最初の時期”が描（えが）かれています。

家族構成がカゴメ一家と全かぶりです。

そこもシンクロ率の高さに影響してます。

物語はシンタ目線で進みますが、私は当然「ミカねえ」に感情移入しながら読みました。

序盤。お父さんの仕事の都合で家族でアメリカに引っ越すことを告げられます。

物語のスタートとしては想定の範囲内ですね。

低学年のシンタは「ハンバーグ食べられるといいなぁ」とコトの重大さに気づかない様子。

一方ミカねえは、友達や好きな男の子と離れたくない、と泣いて反抗。

ああ～あの時の自分を思い出すな～～

弟もぽかんとしてたなぁ～

中学校は!?部活は!?勉強は!?と、高学年の女の子にとっては生活のすべてを略奪され、

それはそれは不安地獄です。

序盤の「アメリカ行きを告げられるあるある」で掴みは100点！

さぁてこれからどうなるかな～とわくわくしながら読み進めます。

転校初日、シンタはお母さんの車で小学校に行きますが、不安で車から降りずに泣きます。

するとお母さん

「イエス、ノー、センキューが言えれば何とかなるって！行きなさい！」

とハッパをかけます。

私は子供視点で読んだので、このお母さんにも子供の立場からツッコませていただきますが

お母さん、それはあまりにも無責任だ（涙）

実際何とかなるかもしれないけどさぁー

もっと子供の気持ちに親身になったフォローないの？

実際このお母さん、物語を通してこんな感じなのです。

こんな感じというのはno offence but自己中で無責任

に見えるのです。子供視点で読むと。

親視点で読むと、ミカねえは反抗期で自己中の娘に見えるのでしょうね。

そういう人間くさい描写が良くできてるんです、この本。

共感できる”日本⇒アメリカ転校あるある”も紹介されます。

シンタ：

「算数（マス）と図工（アート）と体育（PE）はよかったんだ。

計算は日本よりずっと簡単だし、

ドッジボールなんて、アメリカの学校だってことをわすれるくらい夢中になった。

なのに、そのほかの授業はちんぷんかんぷん」

あるあるですね笑。

過去記事：安心できる科目トップ3

そんな中シンタは、スペリングテストは勉強すれば点が取れることに気づき、

全力で単語を30個丸暗記して満点をとります。

あるあるですね笑。

過去記事：スペリングテスト

家でも前向きに英語の勉強をして、少しずつ溶け込んでいくシンタ。

サッカーを通して友達もできました。

一方でミカねえは、学校になじめず、友達もできません。

高学年の女子は会話を通して友達を作りがちです。

弟のようにサッカーだけで友達を作るのが難しい年頃です。

低学年と比べて勉強も難しいし。

イライラの矛先は弟へ。

現地に溶け込むシンタに向かって

「シンタなんか死ね」

とか言っちゃうんです。

児童書ですよね！？

(((゜д゜;)))ｵｰﾏｲｺﾞｯﾄﾞ

弟に死ねとかいいます？

それくらいミカねえの荒れっぷりがリアル。

※私はさすがに弟に死ねとはいいませんでしたが笑

ミカねえは友達と別れたショックから抜け出せず、どんどん元気がなくなります。

家では部屋にこもって寝てばかり。

本音で自由にしゃべれる友達ができないなら一人で黙ってる方がいい。

わかるなぁその気持ち。

ちょっとした話や愚痴、そういうのが自由に言えないのは辛い。

ミカねえは訴えます。

「かあさんは『Do you like America?』って聞かれてすぐ答えられる？」

「うん、イエス」

「うそだ、いつもアメリカ人のこと『いやねぇ』って言ってるくせに」

「とりあえず、そう答えるのよ」

「そんなの嘘つきだ。わたしはちゃんと、こういうところは好きだけど、こういうところは嫌いって言いたいの。

だけど英語で何て言えばいいんだろって考えてるうちに、先生はやれやれって肩をすくめて行っちゃうんだよ。

日本語ならすぐ答えられるのに」

ミカねえは頑固で、自分の発言には責任をもちたい真面目な子。

簡単な英語で適当なこと言いたくない。

それは本当の自分の気持ちじゃないもん。

それならしゃべらない方がいいもん。

ミカねえの気持ちが心の底からよくわかります。

私もAll or Nothingな性格で、適当に英語で話すくらいなら黙ってる方を選びました。

ミカねえ、学校で喋らなさすぎて、

ついに学校から家に手紙が届きます。

私は同じ理由で、学校から電話がきました笑。

ちなみに小ネタ。

ミカねえがペロを枕に、ソファで寝てる挿絵があるのですが

衝撃のシンクロ率

写真byカゴメ母。

カゴメ母は私のことをそっとしておいてくれましたが、

シンタとミカの母は何かとつっかかってきます。

「いつまでも泣いててもしょうがないでしょ！」

「かあさんは自分が安心したいだけだ。

人に言うばっかりで、自分は家にいるだけじゃん」

「かあさんだって好きで家にいるわけじゃないわよ」

「じゃあ学校がどんなとこか行ってみればいいじゃん。

授業中、誰かのジョークにみんなが笑っても、ひとりだけ笑えないんだよ

早くこの時間がすぎますようにって、下向いてんだよ

こんなとこにいたくない。日本でみんなといっしょの中学にいきたい」

過去記事：孤独な命令ゲーム

このあたりはもう「アメリカあるある～」など軽い気持ちで読めません。

物語の人物と、こんなにも同じ気持ちになったのは生まれて初めてです。

あの時の私の心の叫び。全く同じです。

私も夜、母とケンカした後に宿題をやらなきゃいけない時があって

「明日readingの授業があるから、早く寝なきゃいけないのに。

　お母さんは、ミセス.ハントがどれだけ早口の英語か知らないから、こんなことができるんだ。

　今寝とかないと明日授業中眠いのに...宿題終わらないし...

　宿題も学校もないお母さんはずるい。。。涙怒」

と悲しんだ経験があります。

海外での親子の八つ当たりがまぁぁぁリアルに描かれてるんです。

お母さんにはお母さんの葛藤、悩み、ストレスがあって。

お母さんが爆発するシーンもあります。

でもミカねえには理解できません。

ミカねえだって自分のことでいっぱいいっぱい。親のこと理解する余裕もありません。

「私だってちゃんとした英語しゃべりたいわよ。

ミカは学校でせっかくめぐまれた環境にいるのに喋らないなんてもったいない」

「大人って何もわかってない。

子供だからってすぐ友達になったり、よその国の言葉をぺらぺら喋るようになるなんて思われたら、迷惑だよ」

責め合いながらキレる母と娘。

お互い自分のことしか考えられません。

過去記事：家族のストレス

怖いよ～この本怖いよ～

なんでここまで事実をズバズバ当てるのさ。

あ、そういえば。シンタたちのお父さん？

仕事が忙しくてなかなか家にいません。

これもまたリアル。

この本には、きれいごとが書かれていません。

海外滞在の家族って、

なぜかみんなポジティブで

なぜか現地の言葉ペラペラで、

なぜかお金持ちで、

なぜか家族みんなで一緒に過ごしてハッピー

みたいなイメージもたれがち。

ポジティブに見えるのは図太くならざるを得なかった結果だし、

言葉ペラペラなのは傷つきながら勉強した結果だし、

お給料がもらえるのはお父さんが夜遅くまで仕事してくれてる結果だし、

家族で過ごすのは引っ越し多くて心を許せるのが家族しかいない結果だし、

ハッピーに見えるのはハッピーに暮らそうとした結果にすぎないし！！！！！！！

光があるところには必ず影があります。

海外滞在家族の光ばかり語られがちな中、影をここまで描いてくれた筆者は、

世の中の光だけを見ない、ということを児童書で世に出してくれた

素晴らしい方だと思います。

最後に、ミカねえの好きなセリフ２つ紹介します。

「友達に会いたいな。空は日本まで続いてるのに」

過去記事：空を見てた話

ミカねえが近くにいたら、きっと友達になれたと思います。

「いろいろ想像してたら、ひとりってちっともさみしくないのに。

わたし、アメリカに来てよかったなと思うのは、それに気がついたことだよ」

ここまでくると、もはやミカねえのセリフなのか

カゴメのセリフなのか分からなくなってきました。

私も学校ではひとりでしたが、ちっともさみしくなかったです。

日々の出来事にツッコミを入れながら過ごせば、割と充実するんです。

その結果がほら、

私は帰国後もアメリカの日々の出来事をこんなにもハッキリ覚えてます。

日本の小学校、中学校、高校の日々の出来事はそこまで隅々までハッキリ記憶してないのですが、

なぜかアメリカのことは映画を見るみたいに思い出せるんですよね～～～

ちなみに作者の八束澄子さんも帰国子女。

この本は八束さんの経験がもとになっています。

何故、八束さんは大人になってから、子供時代のアメリカの記憶をもとに物語が書けたか。

なんとなく分かる気がします。

本書に出合えたのはゆりままさんのブログのおかげです。

ありがとうございます！プログやっててよかったです！

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Ｖ

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『シンタのあめりか物語』リアルすぎる滞在家族の親子関係