世界の果てのステーキ・フリット(具だくさんの玉ねぎドレッシングで) | ルワンダのおうちから。

ルワンダのおうちから。

ロンドン→半年の東南アジア放浪旅→プラハ→またまた旅→ハーグ→インドネシア周遊→タシュケント→キガリ、と海外生活10年弱を終えて、2011年、東京に帰って来ました。毎日のお料理と、ぷつぷつの思いの記録。

ルワンダのおうちから。
『世界の果て(World's end)』というポール・セローの小説がある。
それぞれの因果で母国を離れ、そのことから奇妙な日常のねじれや歪みに翻弄されて生きる人々の、短い短編集。日本では、村上春樹が、ずっと以前に訳していたと思う。

どの主人公の境遇も、自分とは全く違っているのに、その心情の心もとなさや不安それでいて揺さぶる高揚感と浮遊感、が自分のそれととても似通って奇妙で憎らしかった。母国を遠くに異国を転々としながら、何度もページを繰ったのを覚えている。今、あのぼろぼろのペーパーバックは、どこにあるのか知れないのだけれど。

その中の短編のひとつ、たしか(もう20年近く前に読んだので、朧な記憶なのだが)フランス人のカップルが、プエルトリコで過ごす物語。女は妊娠している。前にも後にも進めないような関係の、煮詰まった惰性と、むっとする熱帯の熱気が奇妙に織り交ざった描写が、うつくしい。ある日、そのフランス人の女は、ステーキ・フリットが食べたい、と熱望する。地球の裏側で、恋しく思う、母国の食べ物。その情景を、妙に鮮明に記憶しているのだが、或いはそんな場面などなかったのかもしれない。それは私のセンチメンタリズム。

そういえば、フランス料理らしいフランス料理は、実はステーキ・フリットだと思う。どこのカフェにだってある。何の変哲もない赤身の硬い肉のステーキに、山盛りの”フレンチ”フライ。味は、想像通り。それでも。パリに行くと、ふと、注文する。世界の果てで、フランス人の女が、どうしても食べたいと願った料理。

そんな今日のごはんは、ステーキフリット。
だから、赤身の硬そうな肉を買う。それを美味しいドレッシングでマリネして、少し軟らかに、そして風味をつける。付け合せは、かりかりのじゃがいもに、ローズマリーの香りを。本当なら、肉と芋、以上、のはずなんだけど、栄養なんてことを考えて、にんじんもつける。キャロット・ラペ。これもフランスらしいお惣菜。どこのデリカテッセンでも売っている。(そしてどこのお母さんでも作れる。)私はこれにオレンジの香りをのせるのが好きなのだけれど、今日は切らしていたので、レモンで。柑橘の香りとにんじんは素敵。

世界の果てのステーキ・フリット(具だくさんの玉ねぎドレッシングで)

【材料】二人分

ステーキ用の牛肉(赤身)   2枚
「野菜のうまみドレッシング 玉ねぎ」   大さじ4

じゃがいも   大1個
ローズマリー   ふたつまみ
塩   少々
オリーヴオイル   適量

にんじん   1/2本
レモン   半分
塩・オリーヴオイル   適量

【作り方】
1. 牛肉は、「野菜のうまみドレッシング 玉ねぎ」に漬け、2時間ほどおく。焼く1時間ほど前に室温に出しておく。

2. じゃがいもは柔らかく茹で、一口大に切り、多めのオリーヴオイルで揚げ焼きにする。塩、ローズマリーで風味をつける。(焦がさないように、苦くなるので。)

3. にんじんは、チーズおろしでおろして、オリーヴオイル、レモンで和え、塩で味を調える。

4. フライパンを十分熱し、ステーキの両面にしっかり焦げ目をつける。余った漬け汁を煮詰めて、ソースにする。

ドレッシングの玉ねぎとお酢の効果で、程よくやわらかな肉と、さっぱりしたソースに。何もしなくても、ぴったり味が決まるのがいい。やっぱり、私のステーキ・フリットは日本風だな。


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