日本的価値観をベースにした新しい理念 | 真田清秋のブログ

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 月間日本の1月号の京都大学大学院教授・佐伯啓思氏のインタビュー記事より:


 『ーー 何が欧米型システムから転換のきっかけになるでしょうか。


 佐伯: グローバル経済が行き着くところまで行き、さらに深刻な問題が出てくれば、グローバルな富の奪い合いではもうどうにもならないということが世界的にも理解されるようになるはずです。ただし、中国の共産党政権が危うくなってくるとか、ロシアでプーチン政権が倒れて不安定化するとか、EUが解体するとか、それぐらいの規模の変化が起きないと根本的な転換のきっかけにはならないでしょう。

 大きな変動が起これば、世界全体で現在のグローバル経済の見直しが起こり、新たな枠組みを作ろうという気運が起こってくるはずです。多分それはヨーロッパ辺りから出てくるでしょう。そのとき日本が日本型モデル、日本型価値観をベースにした新しい理念や生き方を提示することができればベストだと思います。

 いずれにせよ、高齢化社会の進行によって、慌ただしい競争社会では持たなくなります。多数派の高齢者が死に近づいて「いかにして死ぬか」という問題を真面目に考えはじめれば、事態は変わるかもしれません。高齢者たちが宗教的な価値観を含めて、死とはいったい何を意味するのか、そして死から逆算して生きるためには何を充実させればいいのかということを考えるようになり、それなりに発言力を持ち、社会や政治がそれに耳を傾けるようになれば、現在の社会の在り方が変わる可能性はあると思います。


 -- 日本の自立のためにいま何をすべきですか。


 佐伯; グローバリズムを前提とした上で、日本人の生活、生産、防衛をはじめ、国内を守る必要があります。防衛でいえば、自主防衛体制を整えた上で、日米関係を築いていくことが必要です。さしあたり、防衛費を拡大して自主防衛に必要な具体的方策を講じる必要があります。防衛関係の予算が増えれば、景気回復、産業発展にも寄与します。

 また、食糧、資源、エネルギーの自給率を上げるための方策を講じるべきです。同時に、電力需要を少なくて済む経済構造に転換していく必要があります。生活水準向上をこれ以上求めず、最低限の電力で生活できるような方向を目指すべきです。その上で、代替エネルギーの開発に取り組み、長期的には原発依存を減らしていく必要があると思います。私は原発に依存することは、日本人の価値観に合わないと思っています。

 そして、国内でおカネを回すようにすることも重要です。これはケインズが昔から言っていることです。ケインズはグローバリズムに反対でした。金融政策で国内におカネをばらまいても、グローバリズムが進むとそれが海外に流れてしまうからです。当時イギリスはデフレの克服に取り組んでいましたが、金融政策でカネをばらまいても、、海外に流出してしまっていました。そこでケインズは、海外に流れるお金を国内に戻して、それを政府に回して公共投資を拡大し、ロンドンの街をきれいにするとか、田園を整備するとか、住宅を建てるといった政策をやるべきだと主張したのです。これと全く同じことが、いまの日本には必要だと思います。目指すべき社会の将来像を描いて、それに向かって公共投資をやっていくことがいま必要なのです。そうすれば、国内でカネが回るようになります。国内で需要が発生し、雇用も創出できます。海外の金融市場が不安定な状態になっても、比較的その荒波を受けないで済みます。これが国内経済を安定的に充実させる道です。

 さらに、わが国は自立するためには、日本人が持っていた伝統的な価値観を回復して、我々が何を大切にしたらいいかを、もう一度考え直す必要があります。それが日本の精神的な自立です。』


 

 佐伯教授は、すっきりと日本の方向性を示されました。

 

 現在の安倍政権の第一の矢である金融緩和で、黒田日銀総裁は2013年3月時点のマネタリーベース(日銀券発行高+貨幣流通高+日銀当座預金の合計)は135兆円から2014年10月時点では、125兆円の増加で、260兆円に膨れ上がっていますが、一方、マネーストック(金融機関と中央政府を除いた一般法人、個人、地方公共団体の通貨の合計)は、2013年3月の1150兆円から2014年10月時点でなんと、43兆円しか増えていないで1193兆円です。


 後の82兆円の多くは、日本の外資系金融期間が低利で借り受け、それを主にウォール街に流し、そのファンドが円売りドル買いと、円安での日本株を買うことでぼろ儲けし、株価だけが上がっただけで、多くの日本国民の実質賃金は逆に下がっているというトリックです。


 つまり第一の矢は、強欲な国際資本家の儲けに利用されているというのが実態です。本来、金融は財政の補完として、また、国内企業や個人の投資に貢献するのが本筋で、その存在価値が問われます。


 このいびつなグローバル化に悪用されるのではなく、大胆な財政政策の国土強靭化構想に200~300兆円を10年かけて、20~30兆円をその原資を、民間の個人と企業の預貯金が1000兆円もデフレで、眠って不活動貨幣になっているのを、建設国債を発行して、活動貨幣に転換することで、乗数効果が発生し、3年目からは、20~30兆円を優に超える自然税収を確保するのが、経済の王道です。


 その実施により、先の佐伯教授の言われる防衛、食糧、資源、エネルギーの他、医療・介護、教育研究費等々の予算が悠々と確保でき、日本国民の正規社員の雇用の創出から社会保障費を安定的に確保でき、消費税はゼロにできます。


 その真逆な政策がアベノミクスでアホノミクスト断じて憚りません。



 それでは、皆様、御機嫌よう★