三浦 綾子
氷点

傑作だと思います。

読み終わってだいぶ経つけど、

全然内容を忘れない。

俺にはめずらしいこと。



作者の三浦綾子さんはすでにお亡くなりだとか。

この本は昭和57年に刊行されたもの。

つまり俺が生まれた歳か。



テーマは「人間の原罪」。

「原罪」はキリスト教で用いられる言葉らしい。

自分なりに解釈してみると、

全人類が生まれながら負わされた罪

かな。

どんな人間にも宿る「恐ろしい思い」のことを指している、と思う。





美貌の妻、夏枝は、夫、啓造が経営する病院の眼科医である村井の

求愛の言葉に耳を傾けるために、

幼い娘ルリ子を外に追いやる。

その間にルリ子は殺人犯にさらわれ殺されてしまう。

啓造は「汝の敵を愛せよ」という座右の銘を実行すべく、

殺人犯の娘を引き取って育てようとする。

しかしそれは、

啓造のタテマエであって本音は、

自分の留守中に他の男と心を通わせていた妻への復讐であった・・・。

引き取られた娘、陽子を殺人犯の娘とは知らず、

大切に育てる夏枝であったが、

ふとしたことから事実を知る。

陽子は誰からも好かれる魅力的な女性に成長していくのだが・・・。


導入部分をまとめるだけでも一苦労した。

レビュー、無理です。

けどこれだけでも面白そうやろ?

是非読んでみて下さい。



テーマがテーマだけに

考えさせられることが多かった。

特にひっかかった箇所は・・



啓造は自分生きてきた道をかえりみて、ひどくむなしかった。

何をめあてに生きてきたのは分からなかった。


「人間は何を目標として生きるべきなのだろう。おれには社会的な地位も、

一応の財産も、美貌の妻もある。しかしそれらは必ずしもおれを幸福にはしなかった。」



どんな生き方が幸福をもたらすのか。

それは誰にも分からない。

決まっているのは人はみんな死ぬ、ということ。

きっと昔から誰もが悩んできた問い。

平々凡々に生きてる俺でさえ

悩んで虚しくなるくらいだから。



どうやら「続・氷点」も出てるらしい。

今から図書館行ってきます!