忘れないうちに書いておく。
本日6月30日、宙組の千秋楽を配信で観た。
正直、トップ男役には何の思い入れもない。
宙組自体、観劇からずいぶん遠ざかっていて下級生の名前と顔が全く一致せず、桜木くんだけしか認識できない状態。
それでも視聴を決めたのは、ブログやSNSであがってくる観劇レポートがおおむね好評だったから。お値段以上のショーなら、観る価値があると判断したからだ。
そして実際に、素晴らしいショーだった。
全編に渡る宝塚歌劇のダイジェストメドレー。
観劇歴30年弱の中堅ファンである私は、ほぼすべての楽曲を口ずさめた。
純粋に楽しめた。
SNSで流れてくる公演評の中に、観劇して複雑な気持ちになったというものを見た。楽し気なラテンの場面で亡くなった子に対し失礼だと思い急に冷めたという書き込みや、謝罪がないだの追悼がないだのという公演評とは言いがたい書き込みも。どの面下げて公演するのか見てやろうと思って観劇してやった、ぐらいの何様目線の書き込みもみた(ここまでくるとただの意地悪か)。
そういう書き込みを読んだうえで視聴してもなお、楽しめた。
圧巻だったのは、ショーの終盤だろう。
トップ男役がソロで「愛の旅立ち」を朗々と歌い上げたあと、大階段に整列した男役たちが桜木くんの歌唱に合わせて舞い、次は娘役たちと入れ替わっての場面。
泣いたね。
泣いたよ。
何の思い入れもなかったけど、思わず自然と。マジで号泣。
宝塚歌劇110周年を記念する良いショー作品だった。
齋藤先生、良い作品をありがとう。
あの事件から彼女たちは一切の発言も弁明も許されず、週刊誌の記事だけで断罪されて名を晒され、プロフィール写真をまるで指名手配犯であるかのように晒されもした。公演再開の見通しは立たず、当初は自宅謹慎していた時期もあったやに聞く。
その後も、決まっていた人事異動や上演予定の作品が白紙になり、どうにか公演再開にこぎつけたら、株主総会の質疑応答でとうとう本名まで晒された(議事録にそれが残る)らしい。
もうじゅうぶんだ。
じゅうぶんに社会的制裁を受けたではないか。
劇団が全ての責を負う。
それで合意したのだよ。
休演せず、非難も承知で舞台に立つと決めた彼女たちを、これ以上追い詰める必要がどこにある。
素晴らしい作品だった。110周年にふさわしく、華々しい作品。
演者の実力も申し分なく衣装もセットも豪華で、初心者からオールドファンまで観劇する全ての人が楽しめる作品だった。
叶うならば劇場で。
そう思える作品だった。