新しいキッチンをイメージする大切さ
今回のテーマは、「新しいキッチンをイメージする大切さ」という長いテーマです。
家を建てる場合、良くも悪くも、現在の家が基準となります。
今の家に不満があるので、新しい家がほしい、というケースも多いとは思います。
これを、キッチンで考えて見ます。
今のキッチンが古くて、汚くて、暗くて、収納が少なくて、せまくて、高さが低くて・・・と不満だらけとします。
今並べ立てた不満がすべて解消されたら満足するでしょうか?
私が現役の頃、ある入居後のお客様の所に様子を聞きにいったときの事です。
そこも、以前の家のキッチンが不満だらけだったので、最新型のキッチンを入れ、不満をすべて解消したつもりでした。
つもり、でした。
さっそく、どうですか、と聞いてみました。
すると、奥さんはこう言われました。
「すごくいいわよ。きれいだし、明るいし、収納もいっぱいあるし・・・でも・・・」
そこまで言うと何か考え込んでおられます。
「でも?」私はものすごく喜んでくれているのを想像していたので、何かミスをしたのか心配になり、先を早く聞きたくなりました。
「何か使い勝手がしっくりこないのよねえ。」
つまり、こういうことでした。
前の家のキッチンは、不満だらけだったけど、お料理を作るときの流れだけはぴったり合っていた。
でも、今のキッチンになってからは、どうもうまくいかない。
冷蔵庫から材料を出す、洗う、切る、炒める、焼く、煮る、食器を出す、盛り付ける、食卓に持っていく。
こういう流れが、うまくいかない。
もっと言うと、ボール、さいばし、フライ返し、おたまなど、道具のしまってある場所やとりだしやすさ、なべつかみ、調味料入れなどが、タイミングよく取り出せるかどうかなど、工夫してもなんかやりにくい。
「ここにあれば言う事無いのに、あんなところにあったり、右にほしいのが左にあったり、このタイミングで使いたいのに、これは後ろにあるのよ。ほら見てちょうだい。」
「これは、調味料入れのつもりでしょうけどこの位置じゃあだめよ。それに私が良く使うのはこのサイズなんだけど、ほら、入らないでしょ。ああ、もっと良く確かめて置けばよかった。」
「あと、最悪なのはこれこれ。これはねスペースが足りないのよ・・・。」
私に思いを伝えようと奥さんは必死で説明してくれました。
機能がすべてそろっていて、美しく、収納もたっぷり、でも肝心の使い勝手は前の古いキッチンのほうが断然良かった・・・。
以前のキッチンの不満の解消ばかりに目が行き、うまくいっていて変えたくない部分がどこで、新しいキッチンではそれができるのか、そういう見方は一切していなかったのです。
私はそれ以来、キッチンのレイアウトなどが決まったら、お客様に、そのキッチンで自分のイメージ通りの調理がスムーズにできるか、イメージしてもらうようにしました。
新しいキッチンの詳しい機能と使い方、各収納の位置などをまず理解してもらい、そこで実際にいろんなケースを想定してもらいます。
できればモデルルームなどの実際のキッチンの前でです。
そして、気になる部分はどう解決できるのか、話し合いました。
冷蔵庫の位置は、やっぱりこっちに戻そう。
ゴミ箱スペースは、やっぱり見た目よりも場所のほうをとろう。
この壁をくりぬいて棚を作ってはどうか。
この収納は、特注でこう変更しましょう。アップ分がいくらか出ますがよろしいですか?
ここのスペースは、広げたほうがいいんじゃないか。
時間はかかりますが、納得キッチンには近づくはずです。
いろいろ教えてくれたその奥さんは、最後にこう言っておられました。
「まあ、時間をたっぷりかけて、最後は私の体のほうが、キッチンに合わせていくんだろうけど、注文住宅の新築の家でそれじゃあねえ・・・。」
私がこのブログに書いている、こういう「間取りのツボや知識」は大切な事ですが、本当はもっと大切な事があります。
家を建てる前にあらかじめ知っておきたい事。
誰も教えてくれない、ブログでは書けない事が満載。
辛口メルマガ 《「欠陥住宅」よりも怖い、家づくりの落とし穴》
一度読んで見てください。
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