「ノルウェイの森」 20代に読んで欲しい作品です | 吉祥寺の一番役立つ税理士事務所で働くB型人間のブログ

「ノルウェイの森」 20代に読んで欲しい作品です

吉祥寺の一番役に立つ税理士事務所で働く常松です。


またまたしつこく「ノルウェーの森」の話です。


この作品は、「世界の中心で愛を叫ぶ」に抜かれるまで、圧倒的な売上部数を誇っていた作品です。


「世界の中心で愛を叫ぶ」は、映画化・TVドラマ化された影響もあって売上が伸びましたが、「ノルウェイの森」は、インターネットや携帯電話が普及していなかった時代に、しかも映像とのタイアップなしでの売上です。


おそらく今回の映画化で、原作の売上が伸びるのは当然ですから、累計販売部数でまたトップになるでしょう。


まあそのようなことは、あまり重要でなく、20代に読んで欲しい理由は別にあります。


「世界の中心で愛を叫ぶ」は、高校生が好きな女性を白血病で失ったことによる喪失感を描いた作品ですが、「ノルウェイの森」の描いている喪失感は、親友や家族や愛する人を「自殺」という形で失ったことによる残された人間の心の闇から生じる奥の深いものです。


SEXに対する描写も多いのですが、それは興味本位ではなく、「生きている」つまり「死」の対極としてシンボル化して書かれているもので、思春期の感情を表現するためには不可欠な要素です。「男」と「女」のつながりを確かめ合うための行為として描かれています。


「ノルウェイの森」という本のタイトルや「赤と緑」のおしゃれな装丁からは、想像できない世界が描かれています。


20代までは、出会いや「卒業」とか「就職・転勤・離職」などの形式的な別れが多く起こりますが、愛する人の死という「永遠の別れ」を体験したときに、精神的なショックから立ち直れないこともあります。


また、安易に自分自身が「死」を選ぶ場合や、他人を傷つけてしまうこともありますが、残された周りの人の心の傷を感じる機会にもなると思います。


出版から20年以上の年月が経ち、経済的にも不況で閉塞感が蔓延する世相だからこそ、映画化をきっかけに「ノルウェイの森」を、新しい若い世代にもぜひ読んでもらいたいと思います。