携帯電話 携帯電話のスクリーンに 今日も冷たい 事務的に電気的に 工業製品の生み出した文字たちが ただただ正確に 人の温もりもなく 白いバックライトの中に浮かび上がる ただひとつの不思議なこと それは あなたから届く たった数文字の言葉 「おやすみ」 「げんき?」 「またあおうね」 これだけは 携帯電話を持つ手の中に 汗を感じるほど温かい 冷たいはずの携帯電話が 人の温もりも送ってくれた瞬間