経済政策を売り歩く人々―エコノミストのセンスとナンセンス (ちくま学芸文庫)/ポール クルーグマン

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円高、株安に悲鳴―産業界=政府・日銀に対策催促 (yahooニュース 8/25)

というより、為替介入による円安誘導は日本経済にとって良いことだ、ということがいつから自明になったのかな。しかもこのニュースなんかであるように、一企業の社長や一部の経済学者の声明を取り上げて、さも円安誘導が有効な政策であるかのような印象を与える報道はいかがもんなのよ。

かく言う私も経済政策に関してその有効性を判断する知識を持ってはいない素人。でも、その素人目に見ても昨今の為替介入に関する識者の見解は一枚岩ではないです。ちなみにどちらが優勢か、という印象すら受けない。

昔から、マクロ経済政策はその実行の事前、事後を問わず有効性を評価することはとても難しい。かの有名なニューディール政策でさえ、当時のアメリカの好況を支えた直接的な原因ではないとの見解も根強くあるくらいだ。

このように政府主導の経済政策は、よほどの効用を見込めない限り、「推移を見守る」のがデフォルトのスタンスであり、間違っても、このyahooニュースのような安直なポピュリズム的円安誘導に迎合すべきものなんかではない。

って、経済なんか分かんなくったって常識的に考えて分かんないものかな。「円が安けりゃ、外にもの売りやすい」っていうロジックで経済よくなるなら、とっくに日銀は実行してるよ。昨今の円安推奨報道は平たく言えば、停滞が続く日本経済に対する不安や憤りに対するガス抜きさ。

この位の円高なら、むしろ少し大きな製造企業、例えばユニクロなんかにとってはむしろ大歓迎のはず(原価安くなるし、海外工員の雇用をしやすくする点で)。困るのは高度な技術が必要な例えば、工作機械とか化粧品の会社とかかな………ってあれ。