資生堂TSUBAKI 2015冬季限定 オイルシャンプー&オイルコンデセットⅡの解析3 コンデ編 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
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化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

化粧品犬です。

全3回の予定で資生堂TSUBAKIの2015冬季限定セットの解析をしていっています。
今日は第3回として、コンディショナー処方の解析を行います。

2014年から、毎年冬に販売しているらしいこの製品。
今年も若干処方を変えて、販売が開始されてます。
数量限定の上、セットでしか売ってません。

TSUBAKIはたまに特価のセット組でも売っているので、最初はその類かなあと思いましたが。
使ってみると、TSUBAKIとは思えない使用感の良さにびっくりです。
このセットを買ってくるまでは、化粧品犬家では、かみさんはアハロバターシャンプー/コンデ、小学生の娘はパンテーン(緑)かオレオドール(黄)を使っていたようなのですが、いつの間にか二人ともこのTSUBAKIオイルシャンプー/コンデを使ってました(^_^;)

一応お風呂場には白TSUBAKI(TSUBAKIダメージケアシャンプー)も置いてあるのですが、あまり使われていません(^_^;)

成分を見てみると、特にシャンプーの内容が通常品から、異様な程大きく変わってます。
これはシャンプー編で書いたので、ここでは書きませんが、言ってみれば急に黄金時代に回帰?みたいな(^_^;)

しかし今回のテーマはコンディショナーなので。
コンディショナーの処方内容は、もう少し地味です。
地味に検討し続けた技術を、この限定商品でも投入!みたいな。

その辺りが今回の読み所です。

では、まず写真から。
これです。


セットで税込み1300円ぐらい。性能を考えれば、超お得です。
シャンプーと違って容器が透明では無いのが残念。やや地味になってしまっている。
コーセーの商品とかはコンディショナーの容器も透明なので、やれなくは無いはずですが。

裏面を整理するとこちらになります。
シャンプーと同様に、通常商品の中から、ダメージ毛ケアというコンセプトが共通する白ツバキ(TSUBAKIダメージケアコンディショナー)の処方を選び、表に併記しました。



早速上から見ていきましょう。
まずワックスのパート。
ここは、普通ですね。
オイルコンディショナーにはセタノールが入っていませんが。セタノールはゲルに柔らかさと粘りを与えるのですが、ステアリルアルコールだけでも充分代替できます。

次はコンディショニング剤のパートです。
実はここが、オイルコンディショナーの一番面白いところで、あとはあまり面白くないのです(^_^;)
残りの部分は、エキスの違い以外は、ダメージケアコンディショナーと良く似てるんです。
面白いはずの、このコンディショニング剤のパートもそもそも似ている(^_^;)
基本は、長鎖の四級カチオンと呼ばれ、コンディショニング効果が高いため汎用されているベヘントリモニウムクロリドがメインですね。
それを、鎖長の違う(=感触の違う)2種の四級カチオン(ステアリルトリモニウムクロリドとセトリニウムクロリド)で補強してあります。
オイルコンディショナーの方は更にそこに、ステアリルPGジメチルアミンという、三級カチオンと呼ばれる成分を配合してあるのですね。
これがポイント。
三級カチオンは、その昔アジエンスやツバキなどのブランドが出来た頃に流行った安全性の高いリンス基剤なのですが、使いこなすのが難しく、継続して使う会社はあまりなかったんですよね。今でもメインで使っているのは、大手では、花王さんぐらいかな。
資生堂さんも三級カチオンは止めたと思ってましたが・・・実はコツコツと研究し、メインでは無いところで商品をだし続けていたようです。
私もあまり把握していなかったのですが(^_^;)、例えば今のツバキのラインナップの中では、紫ツバキ(TSUBAKIボリュームタッチ シャンプー)に、今回のように四級かカチオンと併用される形で、配合されていたりします。
紫TSUBAKIはこれ。今回調べるまで、ノーマークでした(^_^;)


実は三級カチオンって、髪がやや堅くなってしまう傾向があるんですよ。
しかし、ボリュームタッチコンディショナーのような、髪のボリュームを出すシリーズには使える可能性がありますね。

オイルコンディショナーでは髪が堅くなるという性質を、オイルを配合して方向性を変えているようで。髪のツヤや滑りがよく、髪がしっかりしてサラサラになると言う方向にうまく変えている(^_^;)
この辺りが、三級カチオンの使い所なんだなあ、、、と資生堂さんの地道な技術開発に驚きました。
使っている素材自体も、昔の一般的な三級カチオン(ステアラミドプロピルジメチルアミン)から大分進化して、ステアリルPGジメチルアミンになっています。
分子構造の真ん中にPG(プロピレングリコール)が入ったことで、髪を堅くするネガティブな効果も緩和されているのかもしれません。

あと、コンディショニング剤のパートは塩基性アミノ酸のアルギニンも配合されてますね。

次は油剤のパートを見てみます。
ここはよく見ると、ダメージケアコンディショナーのミリスチン酸イソプロピルが、オイルコンディショナーではパルミチン酸エチルヘキシルに変わったぐらい。
この二つは良く似た感触の素材なので、実質変更は無いに等しいです。
主成分はジメチコンという一般的なシリコンオイル。
そこに軽区」滑りの良い感触のパルミチン酸エチルヘキシルや、石油系の水添ポリイソブテン、水添ポリデセンを合わせ、エモリエント効果のある椿油や、別のシリコン油であるアミノプロピルジメチコン 、ポリシリコーン-13で調整するという感じです。
ポリシリコーン-13はちょっと聞き慣れない名前ですが、別名をポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ブチレン・メチルポリシロキサン共重合体という、乳化剤型のシリコン(変性シリコンともいう)ですね。

あと、オイルコンディショナーの方にはレシチンも配合されてます。これはコンセプトで出てくるところの、」髪と地肌をケアする「10種の植物エキス」の一つとして配合されているようです。

次は粉体のパート。
何故かシリカが配合されています。
シリカは下地とかに配合されるぼかし効果の高い粉なのですが、ヘアコンディショニング効果に使うとコンディショニング効果が出るらしい。
原料の説明を良く見直したら書いてありました・・・知らなかった(^_^;)

防腐剤はまあ普通。
サリチル酸はパラベンの代わりに使われていると思われます。
資生堂さんは意外にノンパラベン派なんですよ。

最後は保湿剤のパート。
ソルビトール、 DPG、 イソペンチルジオールといった、多価アルコール類(グリセリンの親戚)が主成分です。
イソペンチルジオールは、弱い防腐力があるタイプ。
次のグルタミン酸は酸性アミノ酸と言われる成分なのですが、先の三級カチオンであるステアリルPGジメチルアミンを中和するために配合されていると思います。
三級カチオンは何らかの酸で中和する必要がある成分なのです。普通はクエン酸などで行うのですが、さりげなくグルタミン酸(^_^;)いいですね。

あとはシャンプーともかぶる成分ですね。
まず10種の植物エキス(ローズマリー葉油 、クララ根エキス 、アシタバ葉/茎エキス 、ユキノシタエキス、 ワイルドタイムエキス 、ツバキ葉エキス 、ツバキ花エキス 、カミツレ花エキス、オトギリソウ花/葉/茎エキス、レシチン)が配合されてますね。
シャンプー同様に、公式HPからこの効果は以下の二つのようです。
 1.地肌を健やかに保つ美容液成分や髪のダメージを補修する美容液成分を合計10種配合 = 「髪と地肌のWケア」
 2.みずみずしい花々の香り。
とのことです。

また、アスペルギルス/ツバキ種子発酵エキスですが、「椿麹S」の「椿麹」の部分にあたるものですね。
公式HPによると、
「椿油を絞ったあとの豊富な美容成分が残っている椿の種に、麹菌を加えて発酵させ、そこから抽出したエキス」
とのことです。
http://www.shiseido.co.jp/tsubaki/about/effect.html

これで一通りお終いですね。

冒頭に書きましたが、この処方は三級アミンの使い方に尽きますね。
こういう風に使うと有効なのかと、勉強になりました。

値段以上に、良い製品だと思います。
品切れになる前に、もう1セット買っておかねば。