透明石けんに挑戦 その3 とりあえずの到達点 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
ノラ犬となった化粧品犬が、面白いと思った情報を発信していくブログです。
化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

化粧品犬です。

前回取り上げた、ステラシードさんの商品解析はホントにしんどい(^_^;)
今回は製品解析はお休みして、手作り石けんネタです。

以前に透明石けんのエントリーを2回書きました。
 透明石けんに挑戦 2015.8.15
 透明石けんに挑戦(追加版) 2015.8.19
今回は、その続きで、題して「透明石けんに挑戦 その3 とりあえずの到達点」です。

化粧品犬が検討しているのは、水/エタノール下で加熱することで、油脂を100%けん化させて作る、「普通の透明石けん」を作る検討では無くて。
まず油脂を90%けん化させて「普通の手作り石けん」を作り、その後少量の水で再溶解してグリセリンなどを加えて透明石けん化するという方法です。

この方法を石けんのリパッチといったりするようです。
この方法のメリットは、エタノールを入れないで作ったり、入れても入れた量をきっちり計れるというところです。
再現性の良さが長所だと思います。
あと、水/エタノールを火にかける事がないので、安全に気を配らなくていい。いつものCP石けんの延長で気楽にやれます。

ただ、リパッチは参考書が少ない(化粧品犬が知らないだけかもしれないですが)ので。
リパッチで、どこまでのものが出来るのか?とか、そもそもリパッチでは良い物は出来ないのかな?という辺りが気になるところです。
例えば化粧品犬が前のエントリーに上げた、2015/8/13に作った透明石けんですが、キレイな透明にはなったものの、このエントリーを書いている今日(2015/10/7)でも、表面が完全には乾いていません。2ヶ月近くたって表面がベタベタって(^_^;)
かといって石けん濃度を上げると、透明感が無くなってしまったりね。
検討項目が山程あるんですよ(^_^;)

色々やっているうちに文字通り失敗の山を築いてました。
↓失敗の山。


ちなみに、写真左端の箱の上の部分に入っているのが、最初のエントリーで上げた透明石けん。
同じ箱の下半分に入っているのが、2回目のエントリで上げた、出来損ないの透明石けんモドキです(^_^;)

何を検討したは書いても良いのですが、多分あまり面白くないので略しまして。
とりあえずの到達点をご紹介します。

これです。


ちなみに名前は、「透明石けん9 TPSF150917」 です。
試作9回目の、一応の到達点ですね。

三つ並んでますが、手前の二個がとりあえず到達点の透明石けん。
結構な厚さにカットされた割には、後ろが見えているかなと。
奥の一個は、リパッチに使用した普通の手作り石けんです。参考のために置きました。
タネ石けんと呼んでます(^_^;)
奥のタネ石けんをリパッチして出来たのが、手前の二個、というわけです。

例によってアップを何枚か上げます。


これも結構なの厚さの割に透けてます。



これも、後ろのタネ石けんが透けて見えてます。

この石けんの良いところは、ブログで触れないが残念ですが、表面がベタベタしてないところです。

今回は一応の到達点なので、処方も簡単にまとめておきます。
タネ石けんの処方は以下の通りです。

ピュアオリーブ油/ パーム油/ パーム核油=150 /150/ 200
香料(全て精油):ベルガモット/ゼラニウム/ペパーミント=4/4/2
けん化度90%


です。
ハードオイルはわざと多めで、透明石けんの定番原料のひまし油は、あえて外してます。
これは、いじるとこが多くなると検討がつらいので、あえてベタな基本的な作りに徹した、という意図です。

このタネ石けんを利用しての、透明石けんの処方は以下の通りです。

タネ石けん/BG/ リパッチ用水 /グリセリン/ グラニュー糖 /グラニュー糖溶解用水
=50%/10%/9%/14%/10%/7%


です。
ここでも検討を単純にするため、あえて定番のエタノールを無配合でやってます。
エタノールは系を溶解させるに決定的な効果がありますが、その役割をBGに任せた処方とも言えます。
エタノールは必須成分かと思いましたが、結果としては何とか出来ましたね。

そのほかBGの量、グリセリンの量、水の量・・・いずれも透明性に大きく影響します。
グラニュー糖はある程度堅さを保ちながら、グリセリンの肩代わりしている原料と思われますが、万能というわけでは無く入れすぎるとやはり濁ります。

で、この処方の最大の問題点は。
作ってすぐは、やはり表面がベタベタするということです(^_^;)
ただこの処方の場合、10日ぐらいすると表面のベタベタがほぼ無くなります。
作ってから10日後に完成、という事ですね。

ようやく何か掴んだ気がする(^_^;)
透明石けんは、これからもどんどんやっていきますよ(^_^)v

というところで今回は終わりです。