※長くなりすぎたんで前編後編に分けてお届けしております。カタリストについてだけ知りたい方は前編を飛ばして後編をお読み下さい。※
パルクールゲー、というジャンルが存在する。フランス発祥自由自在に街を駆け巡る移動術であるパルクールを題材に取り上げたゲームの事だ。
古くはアサシンクリードシリーズであったり、
ご存知古参ステルスアクションゲー。第1作が発売された2007年から連綿と続くUBIによるメガヒットシリーズ。人類の歴史の影にアサシン教団とテンプル騎士団あり…!な歴史ファンタジーの側面もある。忠実に再現された往時の都市を自由に探索出来る観光ゲーの側面もある。一口でこうだとは意外に言い難いゲーム。
毎度マンネリマンネリ言われつつも(一部作品を除き)きっちり仕上げて来る安定安心の出来で、押しも押されもせぬUBI看板作品の一つ。この度めでたく実写映画化が決まった。
ちょいと超人気味な物になるとインファマスシリーズなんかもあったり
アサシン達が超人的な身体能力の持ち主ならば、こちらは文字通り超人の集まり。体に電気を蓄えて敵を攻撃したり、街中に敷設された電線を伝って駆け巡ったりとやりたい放題。
世界一有名なFPSシリーズであるCODも最近は積極的にパルクールを取り入れています。
更にここ5年で個人的に最も衝撃だった新規IP、Dying Light。
ゾンビ×サバイバル×パルクールというありそうで無かった組み合わせを、新規IPとは思えない高次元で纏め上げた超良作FPS。ゾンビや少々のホラー表現に耐性のある方全てにプレイして欲しい。続編の製作発表を心待ちにしていますぞ!
その他ちょっとした要素として登場しているものも考慮すると、それこそ数え切れない程のパルクールゲーが存在しています。
<オープンワールドゲーにおいて移動手段が果たす役割>
昨今、ゲーム機の高性能化に伴い、広い世界を緻密に表現出来るオープンワールドゲーが増加の一途を辿っており、今や猫も杓子もオープンワールドなオープンワールド時代。
しかし、オープンワールド単体では無駄に広い部屋のようなもので、そこに魅力的なクエストやNPC、思わず眺めたくなる街並などの様々な要素を如何に配置するかが問われるのは皆さん周知の通りです。最早ただ広いだけで喜ぶプレイヤーなぞ存在しないのですから。
更に作り上げられた部屋もそれだけではまだ真のオープンワールドたりえません。最後の欠かせないピース、移動手段があって初めて完成するのがオープンワールドです。傑作と呼ばれるオープンワールドゲーには大抵秀逸な移動手段が存在しています。徒歩しか用意されていないオープンワールドはイチゴの乗っていないイチゴのショートケーキみたいなもんです。食べられなくはありませんが、何かが物足りない。
「オープンワールドの移動手段」を考えた際に一番に思いつくのはファストトラベルですね。一度訪ねたところには瞬時にワープできるというお馴染みのアレです。プレイヤーが無駄だと感じる移動を省く為の超重要なシステム。最近だと大抵のオープンワールドに標準装備してありますな。早いとこ現実にも実装しないかな。
しかし、徒歩とファストトラベルだけで満たされる時代もまたとっくの昔に終わりました。ファストトラベルは広い世界を手軽に移動できる素晴らしいシステムですが、同時にプレイ時間が増えるほど世界を狭くする危険性もある諸刃の剣です。魅力的なオープンワールドを沢山経験したプレイヤーは新しく出るゲームに新たな移動手段を求めるようになり、ゲームメーカーはそれに呼応するようにオリジナリティ溢れるシステムを次々と世に送り出してきました。
GTA5だったらバイクや車などの現実に存在している乗り物を多数用意してありますし(ちなみに個人的なお気に入りは自転車でした)、ジャストコーズ3ならグラップリングフックとパラシュートスーツにウィングスーツを新たに装備したリコが所狭しと暴れ回っていました。バットマンアーカムナイトではグラップリングとグライドという従来の移動方法に新たにバッドモービルが追加。地上での高速移動と従来の空中機動をシームレスにリンクできるシステムを採用しました。
かように、最早オープンワールドゲーにとって、作り上げられた世界を移動する手段というのは単純な移動方法の枠に収まらず、ゲームの根幹を成す要素になりつつあるのです。ショートケーキのイチゴといった理由がわかっていただけたでしょうか。
<パルクールがこれからのゲームシーンにおいて果たす役割>
これから訪れるであろうVR時代に、オープンワールドゲーもより一層その勢いを増すのは誰の目にも明らかです。当然、これからもゲームメーカーは魅力的でオリジナリティ溢れる移動手段を追求し続けるはずです。
そんな中、パルクールという移動術が果たす役割もまた大きくなっていくでしょう。パルクールは、我々の身体感覚に直結した映像表現が可能だという、他の移動手段には真似出来ない唯一無二のアドバンテージを持つ移動手段なのですから。
走る、踏み切る、飛ぶ、着地する、よじ登る、壁を走る。そのどれもが、普段の生活で我々が手足を使って行っている動きの延長線上にあり、それを表現する視点もまた我々の眼と同じ高さにあります。
架空の世界で作られた数々の移動手段の中でも最も身近に感じられるのがパルクールです。飛行機を操縦した経験があるプレイヤーが少ないのと同程度かそれ以上に、走った事がないプレイヤーは少ないのですから。VRとの相性はグンバツと言わざるを得ない(死語)
そんなこれからが楽しみ過ぎるパルクールゲー界隈ですが、その歴史と展望を語る上で絶対に外せない存在があります。
それが今回紹介するミラーズエッジカタリストの前身、初代ミラーズエッジです。
<初代ミラーズエッジがプレイヤーに与えた衝撃>
今ほどパルクールが流行っていなかった2008年、EA傘下のDICEスタジオが開発したミラーズエッジ。当初は主人公のアジア系過ぎるつり目が一部のアホの間で騒がれたりもしましたが、全体的には知名度の低い作品です。売り上げも爆死気味だったらしいですし。
しかし、そのゲーム内容はパルクールゲーのフロンティアと呼ぶのに相応しいモノでした。
アーティスティックな色遣いで形取られた近未来都市。走り、飛び越え、潜り抜けていく衝撃。FPS視点だからこそ得られる没入感と躍動感はこれまでの作品に無いものでした。
操作体系もビジュアルに負けず劣らず革新的でした。自分の操作が良くも悪くもゲーム内の隅々まで影響を及ぼしている感覚。ミラーズエッジには一つとして同じ「ジャンプ」は無いといえばわかってもらえるでしょうか。
どのぐらい加速して、どの場所からどの方向へ、どれだけの勢いで飛び、どこを掴み、どちらの方向へ着地するか。目の前の障害物一つ飛び越えるのにもそれだけの要素が関わってきます。ゲーム側で自動的に処理される部分が圧倒的に少ない。これがミラーズエッジの最も大きな特徴の一つです。
スピードに乗っていなかったり、踏切の場所が遠かったりしたら目指した場所に届きませんし、下手すりゃ落ちて即死です。
最近のアクションにありがちな、ジャンプの距離に十分な余裕を持たせたり、ある程度目標へ誘導的に慣性をかけたり、ギリギリ届きそうに無いなら自動で縁を掴んでくれたりとそんな配慮は邪道だと言わんばかりのスパルタぶり。着地時の衝撃吸収すら自分の操作次第ですからね。
必然的に難易度はかなり高め。タイムアタックだけではなく、単純なゲームクリアにもトライアンドエラーを重ねる必要があり、その過程で挫折した人も少なく無いと思われます。
まぁこれもある意味仕方の無い点ではあると思うのですよ。ゲーム側の自動処理を増やすという事は、プレイヤー側の自由度を奪うのと同義ですからね。オブジェクトの吸い付き判定を広くすれば死ににくはなるでしょうが、工夫する余地が少なくなります。誤操作とのトレードオフの面もありますしねぇ。これはどのアクションゲームも多かれ少なかれ抱えている矛盾では無いでしょうか。自分で動かすからこそ華麗なアクションを決められた時の喜びも増すってもんですよ!!
結果、エッジの効き過ぎたゲーム性はマジョリティー層のプレイヤーにはウケず、売り上げは爆死してしまったんですけども、それはそれ。これはこれ。ミラーズエッジが作品を通して表現しようとしたアクションの新機軸、「FPS視点でのパルクールアクション」という挑戦は否定されるべきものではありません。
とはいえまぁ続編は出ないだろうと。思ってたんですけどね。出ちゃいました☆
ってわけで後編はいよいよ新作、カタリストについてのレビューになります。是非ご一読を〜〜8/10までPSstoreにて半額セール中なんで是非購入の参考に〜〜
ここまで読んでくださってありがとうございました。後編もお楽しみに〜〜〜