原発に関しての俺の考え | 倒れる時は前のめり!

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【打撃職人を目指す京都の空手家の雑記帳】

先日、友人と原発について話した。俺は基本的には原発反対派だけど、友人は容認派。彼の言った主張をまとめると、

1.原発がないと電力が不足する。電気なしの生活ができるのか?
ろうそくや、カマドの生活に戻れるか?

2.原発はCO2を出さない。火力発電では大量のCO2を出す。
温暖化してしまう。さらに火力発電に使う石油はもう枯渇しつつある。太陽電池はコストが高く、風力は日本には向いていない。水力は限界。環境にも良くない。

3.原子力はコストがだんぜんに安い。


これは多くの人もそう思っていると思う。あと、

4.今まで我々は原発の恩恵に与ってきた。今回の原発事故で、原発が
悪というなら、我々も加害者ではないのか?

5.今回の事は天災。あまりにも規模大きく、この事故は防ぎようがなかった面もある。悪かったのは事故後の対応。

6.マスコミは原発の状況について少し煽りすぎでは?実際は報道ほどは危険ではないかもしれないのではないか?

7.心配しても仕方ない。もうニュースは見ない。誰かが何とかしてくれるだろう。


こんな意見も俺のまわりであったな。

俺の考え:
1.について、もちろんいきなりろうそく生活は俺には無理。だけど、なぜ
原子力をやめると電力ゼロの生活になるのか?例えば2009年前後の
原子力発電比率は、

つまり、原子力がなくてもゼロにはならない。当たり前だ。もちろんすぐに全原子炉を廃炉にしろと言っているわけではない。それは無理だろう。
現状の日本では古い原子炉が多くなってきているので、順次廃炉にしていけばいい。その間にエネルギーの代替案をまとめ、実行していく。ただ、補足しておくと、今回の電力不足による計画停電は、福島の原子炉が止まったからではない。多くの火力発電所が被害を受けたからだ。政府はそれを言わず、原発必要論にすり替えている。

とにかく、節電、太陽光、水力、風力、地熱、全て考えていけば大丈夫。とくに地熱は有効では?現在は発電効率が悪く、結果コストパフォーマンスも悪いが、原子炉がすべて廃炉になるまでに進めていけば、技術革新もあるだろうし(実際、海上風力発電や、効率のいい太陽光発電、シェールガスなど、色々考えられている)、コストも量産効果で下がる。何とかなる気がする。

2.について。
CO2による温暖化については、本当にCO2で温暖化が起こっているのかわかっていないのだが、まあそれは置いておいて、すくなくとも原子炉は通常運転でも大量の熱を出す。ものすごい熱である事は皆も知っている通り。温泉を作ろうかとか言うレベルではない。さらに停止させた後も数か月から数年間熱を出す。つまり、CO2は出さないけど、たくさん熱は出すという事。もっとも原子力委員会では『原子力発電などによる人為的に発生させる熱量は太陽からの熱量に比べ無視できるほど小さく、地球温暖化は、太陽からの入熱量と大気圏外への放散熱量のバランスを崩す、二酸化炭素などの温室効果ガスの大気中への過剰蓄積の問題と理解されています』という見解。でも原子炉で作られる熱で電力になるのは3分の1.残りの3分の2は海に捨てる。すごい熱だから問題がないとは思えないけどね。
本当に環境に影響はないのか精査する必要があると思う。

3.について
原子力発電は、コストが安く電気が作れるというのが電力会社の見解
だけど、本当にそうだろうか?
例えば『エネルギー白書2008』では、火力は発電単価10~17.3(円/kWh)、原子力発電単価は
4.8~6.2(円/kWh)となっているが、じつは計算方法によってこの数値は大きく変わる。さらに、地元の対策費も入っていないし、何より廃炉にする時は一基4000億とも5000億とも言われる。これから安全性を重視すれば、さらにコストは跳ね上がるだろう。これらを入れて考えると(原発事故は考えない)、実は他の発電方法に比べて割安とは言えない。だいたいマスコミ対策の為の必要のないコマーシャル(「原子力はCO2を出しません」とかいうやつ。これは電力会社は独占企業だから本来広告は必要ないが、不利な事を報道されたくない為の賄賂的な意味合いが強いと言われる)や天下りなど、利権が絡んでいるため、同じ原子力で比較しても、アメリカの3倍発電コストがかかっている。

あと、4.について。
我々は確かに電力の恩恵をうけているけど、それにはちゃんと対価を
払っている。タダで恵んでもらっているわけではない。
もし料金を払わなかったら、すぐに容赦なく電気を止められるだろう。
我々は間違いなく加害者ではない。例えば、いきなり後ろから車にぶつけられたとして、
加害者から「車社会のおかげでお前も便利な生活をしている。恩恵を受けているお前も加害者だ」とか言われたら、「こいつ頭おかしいのか?」と思うに違いないが、それと同じ事だな。

5.については、歴史上10メートルの津波が来た事はあったし、今回の問題もいろいろな所から指摘されていた。それを無視してきた東電の過失は大きい。もちろん国や原子力保安院などの責任も重い。社長の清水正孝はコストカッターと異名をとっていたらしいが、安全面のコストはカットしないでほしかった。

6.について。
本当のところはどうなのか良くわからない事が問題。危険なのか
安全なのか、サッパリわからない。だとしたら、最悪を想定して行動したいのは人情というもの。それにしても今回わかったのは、“実害”も
さる事ながら、“風評”の影響はものすごく大きい事。今回の事で

“日本ブランド”は地に落ちた。この損失は計り知れない。


7.について。まあ、見ないようにしたら気が楽だよな。誰かがなんとかしてくれるだろうというのは日本人の気質かもしれない。実際、結局は『誰か』が命がけで原発問題を何とかしてくれるだろう。心配してもしなくても結果は変わらない。ただ、俺は性格的に“起こっている全ての事”を知りたい。

だらだらと書いてきたけど、多分、いくら原発反対を叫んでも原発行政は
続いていくだろう。暴力団から政治家まで、沢山の利権が絡み合っているから、この仕組みは変わらない。

基本俺は原発絶対反対だが、どうしても推進するなら、せめてトリウム原発にしたらどうだろう?原子炉で使用する燃料をウランからトリウムに切り替えることができれば、発生する放射性廃棄物の量は約半分になり、兵器へ転用可能なプルトニウムを取り出せる量も80%ほど減る可能性があるらしい。また構造的に事故の可能性が低く、ウランに比べ資源量も豊富らしい。これが本当なら検討に値すると思う。
『ウランより利点の多いトリウム原発、移行への障害は?』
を参照してほしい。