耳管開放症という症状があります。中耳と鼻をつないでいる耳管が開きっぱなしになる症状です。自分の声が響いて聞こえる(自声強調)や耳閉感などが出てとても不快な症状です。中医学の五官病(感覚器に関しての病気)の要覧などには「耳管は筋肉の管なので気虚が多く、補気をして対応」となっていて、処方としては「補中益気湯」を推奨しています。
 ですが実際相談を受けてこの処方をださせていたこともあり、また相談時に処方箋でもう飲んでいるという方がおられ、あまり良くなっていないという方も多いようです。

 慢性化すると治りにくくなりますが、1か月ぐらいの方で最近10日ほどの服用で良くなった方がおられます。
 この方に使ったのは小太郎の「苓桂味甘湯(りょうけいみかんとう)」という処方と「滋腎通耳湯(じじんつうじとう)」。


 苓桂味甘湯は、滲出性中耳炎などにも良く使われる処方で、配合されている五味子には収斂作用という作用があり、引き締める働きがあります。また中医学では、酸味は肝の働きを良くし、肝と関連の深い筋肉は肝によって状態がよくなると考えますからまさにうってつけです。

 滋腎通耳湯は、耳鳴り、難聴のお薬で、耳における症状のいろいろな物に使える処方です。

 今回この二つで、本当に早く良くなられました。(よいち)