梅雨時からその終わりころになると相談の件数が増えてくるめまいやふわふわ感のご相談。病院の検査でこれといった異常は見つからなく、メニエルかな?とか三半規管がとか耳石とか言われてもはっきりとした異常が見つからない場合の相談が漢方薬局には持ち込まれます。処方薬メリスロンやアデフォス、メチコバールなどのケミカル薬品だけでなく、半夏白朮天麻湯や苓桂朮甘湯などが処方されることが良くありますが、これらの処方でスッキリしないという方も多いです。

 この半夏白朮天麻湯はメニエルなどによく使われる処方ですが、処方の内容はほとんどが胃腸によく効く生薬からくみ上げられています。
 
 この処方の意味を考えると、これは体の中の消化器中心に淀んでいる水(こういうのを痰湿と呼んだり痰飲と呼んだりします)と食べたものが胃腸に停滞している状態を解消することで自律神経の負担を軽くして神経のバランスを改善するという目的があります。

 口から肛門までの消化器系は一般的な成人では1日におよそ9リットルもの消化液などが流れているそうです。この消化液などの大半は再利用されていていわば消化器系に分泌されては胃壁や腸壁、胆管などから吸収してまた分泌してという循環があります。暑くなったり梅雨時の陽に湿気が多くなったりすると、水分を普段より余分に取るようになります。さらに体温より低い温度のものを取ると胃腸の筋肉の働きが鈍くなり、この消化液の循環が悪くなっていきます。
 自律神経の役割の大きなものがこの循環を正常に保つことですから、滞りやよどみができると大きな内部的なストレスになってしまい、これが神経のバランスを崩したり、体の中の水(主としてリンパ液)の循環にも影響してリンパ液で満たされている三半規管に悪影響が出てしまいめまいやふわふわ感が生じると推測できます。

 ですから、こういう場合は胃腸を暖め、水の循環をたすけてあげていくような漢方薬が丁度良いのです。半夏白朮天麻湯や苓桂朮甘湯もそうですし、専門店ではもっと他の漢方薬と組み合わせることで早く症状を楽にすることも行います。
 めまいやふわふわ感は体の症状だけでなく不安感をもたらすことも多い症状です。
 自分に合った漢方薬で早く良くしましょう。(よいち)