NVIDIAなどのハイテク銘柄が下落を続けています。
下げのキッカケとなった材料は今後の業績見通しを
下方修正し、成長鈍化の懸念が出てきたためと説明
されています。
個人的には、この説明は材料をネタにした後付け
説明であり、根本理由まで掘り下げた説明には
なっていないと思います。
そこで、私の考えについて説明します。
毎度繰り返しの話になりますが、ブームが発生した
最大の理由はFEDによる大金融緩和です。
政策金利を0%に下げ、QEを実行してドルマネーを大量に
供給した、あの空前の金融緩和です。
基軸通貨であるドルが大量に供給されたため、世界中に
ドルマネーが溢れました。当然、世界中が好景気に
浮かれることになりました。大金融緩和バブルです。
AI・IoT、自動運転にもブームが発生しました。
ブームで嵩上げされた需要は旺盛で、それを満たす
ため、ハイテク各社は増産を続け、更に設備投資し、
ブームは拡大して行きました。
投資家は急速に業績拡大続けるハイテク銘柄に投資を
しました。大金融緩和は2018年秋から2015年末まで
非常に長期間続いたため、大相場となりました。
ところが、数年前に大きくその流れが変わりました。
FEDが金融引締めへ転換したのです。
金利上昇と過剰なドル吸収が開始されました。
しばらくは過去の大金融緩和の余韻で、金融引締めの
影響は現れませんが、それは時間の問題です。
金利上昇とBS縮小がある程度進展すると、発生した
ブームは徐々に終焉していきます。
AI・IoT、自動運転ブームにも終わりがやってきた
のです。
つまり、NVIDIAの今後の業績が下方修正された
根本的な原因は金融引締めであると考えています。
簡潔にまとめると、
「金融緩和→ブーム発生→金融引締め→ブーム終焉」
のサイクルが今回も起こったと考えています。
問題は、ハイテク企業は高成長(ブーム)が持続すると
予想して大規模な設備投資を実行している事です。
金融引締めでブームが終了するため、想定したような
成長率は実現せず、大きく鈍化する可能性があります。
そうなると過剰設備を抱え込むことになります。
通常のシリコンサイクルでも過剰設備に苦しむ現象が
起こりますが、今回はブーム化したので、従来の
シリコンサイクルより大きく過剰設備投資した可能性が
あり、影響が長引くかもしれません。
金融緩和によって発生したブーム(バブル)に乗る時は、
金融引締めが始まったら警戒モードに移行し、設備
投資をやり過ぎないように注意しなければなりません。
それを理解し、用心深く設備投資を行う企業に投資
したいのですが、めったに見つかりません。
難しいですね。
<追伸>
「企業業績が良いので買い」という意見がありますが、
バブル終了で需要が減ると業績は悪化するはずです。
現在の業績から見て割安という説明は問題があると
思います。