ノルマ制ライブハウスについて書いた記事を読んで | 音楽家イイダケンイチのブログ

ノルマ制ライブハウスについて書いた記事を読んで

どんなに脂肪に包まれても寒さは骨身に沁みる、どうも俺です。


あまり人様の記事について書くのは気が引けますが。
ちょっと気になる記事が↓
http://ugayaclipping.blog.so-net.ne.jp/2009-07-23-10

いわゆる、小規模ライブハウスがバンドにノルマを課し
ノーリスク、ハイリターンで営業しておきながら
「我々はシーンに貢献している」
「最近、若い子は音源も持ってこない」
などと頓珍漢な事を言っているというのを批判的に書いた記事です。

僕自身はバンドを一生懸命にやっている時にこの点に関しては
気付いていましたし、その現状に全く満足しなかったので
従来のハードコアバンドとは少し違った活動をしていました。

バンド結成当時のボーカリスト「鬼嫁ハッスル」氏は
歌が上手いだけなく、集客力もあり素晴らしいメンバーでした。
ある時、ライブイベントがあるから出てくれと言われ出演する事に。
6バンド位出てたでしょうか。
僕達は手売りで76人位にチケットを販売しました。
ほとんどハッスル氏一人で呼んでたと思います。
いざ開場してみると知った顔が沢山。いつも見に来てくれている
人の笑顔で溢れかえってました。。。。。っん?
知った顔しかいない・・・。
まぁ僕たちは僕たちの全力のパフォーマンスで頑張りました。
終演後お店の人に今日の集客を聞きました。
「83名」内訳は?の問いに「前売り76人当日9人」
その9人は?「君等の当日券の客やなー」
他のバンドのお客さんは?
「・…・ゼロかな。」

これ、対バンでやる意味あります?

しかもチャージバックが1万円くらいだったと思います。
もちろん4人で。
アフォか。

そこから色々活動を変えていかないとなぁーって思い始めたんです。

今回の記事は、色々な問題がごちゃごちゃに混ざっていて
分けて考える問題、結果としてそうなっている問題、まったく見当違いな問題が
混在していると思います。


*ノルマについて

ここで該当記事の筆者と私では少し見解の相違があります。
まず音楽家は集客の努力をする必要がないと言ってらっしゃる。
店にしか集客義務はない、音楽家は音楽を作るのが仕事、との意見。

確かに指摘のとおり一般の外食産業のお店、
分かりやすく言うと吉野家やマックが
一般の従業員に「おまえ、今日お客さん何人呼んだ?」
「ノルマいってないやんけ、2万払え!」とかはあり得ないです。
店長クラスになると本部から「売り上げ下がったな、クビ!」とかは
あるかもしれませんが。

飲食店が集客を目指さない事は単純に閉店を意味します。

小規模ライブハウスはそういった飲食店と同じカテゴリーなんでしょうか?
僕は違うと思います。

大阪の方ならご存知でしょうが、吉本の若手用の劇場「5upヨシモト」等に
出演する若手は難波の高島屋付近で道行く人に自ら声をかけてチケットを
手売りしています。ノルマがあるかどうかは知りませんが、
チケットが売れなければシビアに次回の出演が難しくなると聞いています。
場合によっては契約解除もあるとか。

音楽文化とお笑い文化は違うので比較するのも違うのでしょうか?
僕はそうは思いません。

お客さんを呼ぶ努力をしていないのは音楽家もお店も同等にあるはずです。
ノルマ制というのは本来20人も呼べないとプロになれないよ!って基準です。
この基準には高すぎるとか意見は色々あるのは僕も理解出来ます。
そもそも1500×20×4バンドも売り上げようなんてドリンクしか売らない店には
都合が良すぎる金額です。1日で12万円も居酒屋で稼ごうと思ったら
どんだけ枝豆売らなければいけないか?想像出来るでしょう。
高い機材があるから仕方がないとか関係ないです出る方には。
そんな物は150円の枝豆を5000円の器で出してるような物です。
そういうのは「オーバースペック」って言います。
普通の経営の視点で言えば過剰投資です。
20人も呼べないバンドにそんな高い機材いりません。
コーナンの投光器でも当てとけば良いんです。



*人気がなければプロは無理

このノルマ論争とは別の次元ですが音楽でプロを目指すなら
人気がないといけないのは事実です。
これは媚びろという種類の話ではありません。
どんな形であれ、人から求められて演奏して初めて経済活動に結びつきます。
僕の場合、ノルマがどうのって話と別に、単純に沢山の人に聞いて欲しいです僕は。
それが難解なインストだったとしても、chapmanstickのようなウケの悪い楽器だったとしても。
やる前から諦めるなんて事はしません。存分に告知もするし、
メールも送ります。チラシも渡します。だって見て欲しいもん。

あくまで人を呼ぶ努力を惜しまない前提ですが、
ノルマ制はCB率が低いお店だと理解すれば良いんです。
どうせやるんだったらCB率のいいお店でやります。

ここで昔の話をもう一つ。

私たちのバンドに出演依頼してきたお店がありました。
どんな条件か?と聞いた所
「ノルマ1500円×20枚です」とお決まりの答え。
私の方からは、「お店のノルマは何人ですか?」と聞いたら
「はぁ?そんなのありません」と言われたので
じゃ1枚目から50%バックで20枚売れなかったときは
交通費を1万円保証して下さいと言いました。
人に演奏をお願いするとはそう言う事ですよって言ったら
「分かりました、二度と出演して頂かなくて結構です!」とか言われたので
あー頼まれても出ませんよっと爆笑しながら答えました。

ライブハウスにしてみたら、無名なバンドのくせに!
って思うんでしょうが、
こちらからしたら、なんでお前等に大切なお客さんを無料で紹介するねんw
ってことになっているのをライブハウス側は一切気付かない訳です。

うーーん、行き違ってますねーw

ただ動員の努力をしない音楽家の人、
あらゆるレベルでたーーーーーくさんいます。
努力の仕方は人それぞれ。
練習したりするのが努力だと思えば練習すれば良いです。
衣装を考えるのが努力だと思えばオシャレすれば良いです。
結果、沢山の人が聞いてくれたら良いんです。

こう言うと、「大勢にウケなくても良い、分かってくれる人だけで良い」
という答えもごくたまにあります。結構ですそれで。

どんな努力もお店じゃなくて、同業者じゃなくてお客さんに受け入れられる事が
大事です。マニアックな事やって一切流行に乗ってないのに満員の人はいます。
ジャンルや媚びるとかの良い訳は止めた方が良いでしょう。

努力して動員して、その規模に見合った会場で演奏すれば
およそ赤字になる事はないです。

なぜなら、ノルマを取っているライブハウスで黒字を出しているバンドいます。
20枚分は渡してやるから21枚目から100%バックしろ!って言った事ありますし
その条件飲んでくれたライブハウスも沢山ありますよ。

プロなんだから当たり前です。
そのかわりこっちもそれ相応の結果を示さなければいけません。
お店か本人かはどちらでも良くて、本人が出るからライブに人が来る、
それで良いんですから。

ノルマを要求する箱も要求されるバンドもただ単純にミスマッチに
なってるんじゃないでしょうか?
正直、ライブハウス多過ぎます。バンドって増えてるって聞きますが
それを上回るペースでライブハウスが増えてます。
それも問題点なんでしょうね。



*外国と比べて日本のライブは高い!

記事ではアメリカのライブシステムについて紹介されていました。
店舗の中でレストランスペースとライブスペースが共存し、
食事に来たお客さんが聞きたいと思えば別途チャージを支払って
音楽を聴きにいく!店がある。

はい、知ってます。素晴らしい!ぜひ、誰かそんな店やって下さい。
多分潰れるけどw

日本で日常的に
「あー今日はライブで熱くなりたいねー、いこうか?」
なんて会話している若者います?
これが、クラブならまだ分かります。
エレキギターが輸入されてからそんな風な会話がされていた事って
60-70年代位だけなんじゃないんですか?

つまり、ノルマ問題というよりもライブハウスでライブを見るのは
友達に呼ばれた人以外はお目当てのバンドがいるからですよね?
おなかが減ったからご飯を食べに行く感じで
ライブに行く人って極少数派では?

「今日は牛丼くう?吉野家いこうぜ!」
「カラオケいきてー」
「ボウリングで勝負ダーー」とかはあっても
「ヘドバンしにいこうぜー」とか
「モッシュピットで暴れまくりダー」とか
「ソウルフルな歌声で嫌な事をわすれてー」とか
あります?
つまり、誰が出てるとかじゃなくてライブハウスに行きたい衝動って
ありますか?

俺はないなぁー。

「今日、あいつが出てるから見に行けへん?」
これでもハードル高い。
「今度の??日に好きなバンドが出るんやけど付いて来てくれへん?」
この位じゃないでしょうか。
つまり、突発的でなく日常にたまにあるイベント事であり、
USJや映画に行くのと比較される事だと思います。
決して日常的なものではないと言えます。日本では。

この話になると「日本は欧米に比べて・・・」とか
「LAにいたときはチャージが安くて・・・」とか
全く持って比較にもならないウンコ話する人いますねー。
ここは日本なんで。望んでも欧米みたいな感じにはなりません。
土地代も人口も文化も風習も違うんです。
そう言う人に限って、海外でライブやってます?
そもそも自分がフラッと見知らぬライブに見に行ってなかったりするんじゃないですか?w
そんなに海外が良いと思うなら行けば良いじゃん。
でも、行かないw
実際に行ってる友人達は「日本のシステムは・・・」なんて言ってないしw
海外は海外。ここは日本。Do you know?
もしくはDo you understand?です。



記事の筆者が言うような土壌とは
一大流行を作ろうとかって話だと思います。もの凄くハードルが高い。
出来るもんなら是非チャレンジして欲しいですね。
もしそんな人いたら全力で応援します。
「がんばれー」



*ライブハウスは誰の物?

最近、練習スタジオでもライブハウスでも普段は普通に仕事をして
土日に仲間とライブではじけてる人が増えてます。
これは僕は断固支持します。
一番良い状態だと思います。有料とか無料とかシステムは知りませんが
大体、満員だと聞いてます。満員なのを見た事もあります。

プロを目指すと言いながらたった20枚のチケットがどーたらこーたら言ってる人は
出なくて良いです。社会人バンドの人に動員負けてますやんw
そもそもギャラが発生してなかったらプロじゃないですやん。
社会人の人でもノルマどころかCB受け取っている人もいますやん。
そもそもチケット代貰って見に来る人が多いんなら十分プロってますやん。

楽しんだ上にギャラも取って完全にプロですやん。
素晴らしいですやん。
腕前だけで勝ってても動員負けてりゃ意味ないですやん。
そもそも腕前勝ってると思ってるのは自分だけかもしれませんやんw
むちゃくちゃ上手い人はいくらでもいるし、上手いなんて主観が入るし、
見てる人に関係ないですやん。
見たい人が見たいものやってるってだけの話ですやん。



*そもそもライブハウスをひとくくりにするのに無理がある。

記事のノルマ制ライブハウスっての以外にも
名物マスターがおり、常連客がいてマスターオススメならとりあえず
見に行くってか、飲みついでに来場みたいなライブハウス。
興行会社が出入りして、一日単位で貸している大型ライブハウス。
全部ライブハウス。
業態も主旨も目的も全く別もの。
ノルマ制の店だって大型ライブハウスのつもりで時間貸ししているつもりだろうし
名物マスターのお店だって演者に貸してって言われたらレンタルするし。
そもそも何が問題になっているのか?ってはなし。



*育てる、育ててもらう。似てて比なる言葉

確かに、ホール貸ししかしてないのに
「音楽シーンはこうだ」
とか「お前等はこうしていかないと!」とか
さも育てるような事をいう人もいる。
そんな人は全く必要ないと思う。
借りて頂くお客様になに偉そうにしてんねんって話。

本当にバンドの事を考えて何かしてあげたいって
言ってくれる人が本当にそう思っているかを考える際に
基準にしている事がある。一応書いておくと、
・その人のお店以外のライブに見に来る
・自分たちのいない所で宣伝してくれる
・スタジオに顔を出してくる
・ライブのない日に飲みにいく
ここまでは結構いる。
・口だけじゃなくてお金や知恵を出してくれる。
・利益を一緒に出す事を考え利益配分を要求してくる。
最後の2点が俺にとっては重要だ。
特に利益配分を要求しない人は完全に信頼出来ない。
要求が金額に限らず(要求が金銭じゃない場合もある)見合わなければ
関わらなければ良い。

育ててもらうってのは受け手が勝手に感じている話で
さも意味深な言葉を勝手に意味有りげに解釈して成長に役立てているだけ。
楽器なんてメトロノームに合わせて練習して初めて上手くなる。
人間性が育つのは楽器の練習じゃなくて社会勉強しかない。
どちらも必要だし、バランスしてないと魅力ある演奏なんてできっこない。
意味深な言葉をいう人も、別に育てようと思って言ってる人なんているんかなぁ?
「なにかヒントになれば」とか思って言ってるだけじゃないかなぁ。
それは育てるとかと違うと思うな。



*やっぱり人間関係。愛しかない。

バンドもライブハウスもただのシステムで
本当はそこにいる個人と個人のつながりの形でしかない。
欲求や不満が絡み合うのでなかなか難しいけど、
自分たちの現状と希望を伝えて金額だけではなく何か自分に
プラスになると思えば出れば良いし、いやなら出なければ良い。
バンドやってるからライブしないと・・・って流されて
とりあえずノルマ制にみんな出てるから出ようか・・・みたいなのは
お金の無駄だから止めておけば良いんじゃないのかなぁ。

おれはライブハウスの人間とも人間関係を築きたいと思っているし
なるべく築くように踏み込んでいく事にしている。
これはライブハウスに限らない。

世の中まだまだおもろい人が沢山いるからだ。
そして外に出ると色々と面白いことがおこり続けるからだ。

該当記事の筆者は恐らく自分はノルマ制に出てないぜ!
おれは記事を書いて仕事しているぜ、ペンは武器だぜ!
でも、音楽でもギャラ貰っているぜ!客は俺を選んでいるぜ!
と思っている・・・かは分からない。
でも、この記事の筆者はギャラをもらって演奏している事実があり
その経験から音楽さえやれば集客は店の仕事だと言う論理にたどり着いている。
でも、集客の努力はしてるんじゃないのかなぁ本当は。
もししてなかったら、誰かの人気に便乗してるだけなんじゃないかなぁ。
誰かが集客努力をしているのに乗っかっているだけなんだろうなぁ。
いるなーそんな人。
演奏するのだけが仕事だと思っている人、いるなー。
いるわー。


*俺流結論

こんな話に熱なっても無意味。
音楽家はみんなに聞いてもらえれば仕事になる。以上。


*関係ないけど爆音の箱はいらない
耳潰れるので止めて欲しい。これは完全にただの不満w
こっちは繊細に弾いとんねん。