危険ドラッグ 脳細胞直撃 破壊



脳直撃、死と隣り合わせの毒性 細胞破壊

危険ドラッグ吸引は まさに人体実験



覚醒剤も同じ作用で脳細胞を強烈に死滅破壊するが

危険ドラッグは その比ではない程、強力!




 実験台に載せた真っ白な雄マウスの口内に、脱法ハーブから抽出した
液状の化学物質1ミリグラムをスポイトのような器具で投与する。


マウスは実験台に設置した鉄棒に前足をかけたまま、
口を半開きにしてぴくりとも動かなくなった。


 これは、国内で唯一、薬物依存を看板に掲げる研究機関、国立精神・神経医療研究センター
薬物依存研究部(東京)が日々行っている動物実験の一つだ。


 動かないマウスが示すもの。それは恐ろしい作用だ。


ハーブに使われる成分「合成カンナビノイド」をマウスの脳神経細胞に垂らすと、
2時間で細胞や神経線維が破壊されてしまった。


 合成カンナビノイドは大麻の成分に似せて作られた化合物だが、
大麻ではこのような結果にならない。


覚醒剤でも細胞が死滅し始めるのは24時間後といい、
これほど短時間に破壊された例はない。


予想を超えるショッキングな結果。
脱法ドラッグを使うことは、自ら人体実験をするようなものだ


こうした毒性は、救急医療の現場も悩ませている。


薬物依存症の治療を行う埼玉県立精神医療センターでは昨年度、脱法ドラッグの使用により
救急病棟に入院した患者が19人となり、覚醒剤の患者(17人)を初めて上回った。


 意識を失って病院に運ばれても、回復後に再び使用して意識を失い、
3日連続で病院に担ぎ込まれた患者もいる。


「今度はうまく使います」と言い残して退院した男性もおり、
「問題意識が軽く、意識障害で記憶もないことが多く、再び手を出すことが多い」。


こうした患者の増加は救急現場を疲弊させる要因となっている。

だが、成分ごとに違うさまざまな症状を訴える患者に特効薬はない。


「系統の違う複数の成分が混ざっていることも多く、
体に何が起きているかを特定するのは難しい。


興奮を抑える、幻覚や妄想を抑える、けいれんを抑えるなどの
対症療法にならざるを得ない」


 そのうえ、有害成分が取り締まり対象に指定されるたび新たな成分が出回り、
その“効果”は強くなる。


上條教授が最近注目するのが「ジフェニジン」という成分だ。


麻酔薬として使われる「ケタミン」と似た作用を持ち、頭で考えたことが行動に移せない、
脱法ドラッグを使ったことを覚えていないなどの症状が出る。


ハーブを吸った後に運転し事故を起こす例では、
この成分が検出されるケースが多いという。


 「薬の影響で体が硬直してしまい、事故を起こしてもなお、
ハンドルやアクセルから手足を離すことができない。


強い毒性が脳や体に作用し、他者にも被害を拡大させてしまう恐れがある」


 その毒性は、まさに死と隣り合わせだ。