22.まーちゃん② | 携帯男

22.まーちゃん②

まーちゃん(735pt)→ゆりこ(只野) 「ゆりこをはげまさなきゃいけないのに、僕がまいってちゃだめだよね…」


ゆりこ(只野)→まーちゃん(735pt) 「どうしたの?困ったことがあったのなら私に話してみて?」


まーちゃん(700pt)→ゆりこ(只野) 「いや、仕事で失敗したって前言ったでしょ?失敗というか、どう考えても僕が悪いと思えないんだけど…」


ゆりこ(只野)→まーちゃん(700pt) 「無理を言ってくる人がいるんだね?」


まーちゃん(665pt)→ゆりこ(只野) 「おかげでもう、この仕事辞めようかっていうくらい悩んでる。ご飯も食べられない。悩みばっかりでおかしくなりそう…。」


田舎出身者のおせっかいか、何とか勇気づけたいと思った。


ゆりこ(只野)→まーちゃん(665pt) 「まーちゃん、ユダヤ人の知恵って知ってる?」


まーちゃん(630pt)→ゆりこ(只野) 「わかんない。どういうこと?」


ゆりこ(只野)→まーちゃん(630pt) 「あのね、ある晩ユダヤ人の夫婦がいつものように同じベッドで寝ようとしたの。でも夫の方がいつまでも妻のとなりに入ろうとせず、ベッドのまわりをグルグル歩き回ってるの。」


まーちゃん(595pt)→ゆりこ(只野) 「どうしてグルグル歩き回ってるの?」


ゆりこ(只野)→まーちゃん(595pt) 「うん、それで妻が疑問に思ってそう聞いたの。そしたら夫は『明日は友人に金を返さなきゃいけない日なのに、返すメドがたたないんだ!それが気になってとうてい眠れやしない!』って、そう答えたの。」


まーちゃん(560pt)→ゆりこ(只野) 「それで、どうやって返すの?」


ゆりこ(只野)→まーちゃん(560pt) 「返すんじゃなくて妻はこう言ったの『そのままほっときなさい。そうすれば明日以降、眠れなくてベッドのまわりをグルグルまわってるのは、その友人の方でしょうから』って。」


まーちゃん(525pt)→ゆりこ(只野) 「ずぶとくなれって事?」


ゆりこ(只野)→まーちゃん(525pt) 「ううん、何にでも無神経になれってことじゃないと思うの。ゆりこは・・・。自分に非があるときは相手の言うことをよく聞くべきだとおもうよ。」


ゆりこ(只野)→まーちゃん(490pt) 「でも、これが正しいって思ったら、そこにしっかり碇をおろして、そこからながされないように戦いなさい。相手のことでくよくよ悩まずに…。まーちゃん?会社員である前に、あなた、男なんだから…」


この仕事を始めて、自分が他人事だとやけに勇敢になれる性格だと気づいた。


まーちゃん(455pt)→ゆりこ(只野) 「男なんだから…その言葉、弱いね。ゆりこはもし、クビになったり、みじめな結果に終わっても、僕に愛想つかさない?」


ゆりこ(只野)→まーちゃん(455pt) 「どんな仕事を選んでも、わたしの気持ちがかわることはないよ。苦しいときこそ、愛がためされるんじゃないの?」


適当な約束は、慣れると快感にさえなってくる。


まーちゃん(385pt)→ゆりこ(只野) 「そう言ってくれるの?何を失ってもゆりこが残るんなら、なんだか怖くなくなったよ。ごめん、ちょっと涙が出てきた…」


よく泣く男だ。
本当に深刻だったのか…。


まーちゃん(315pt)→ゆりこ(只野) 「ありがとう、ゆりこ。あした対決してくる。」


対決?
メールした後で少し考えた。


理不尽な世の中、上の無理を聞かなきゃいけない時はままあるだろう。
小娘の私にもわかる。


ついその場の勇気をつけてあげたいと思ってしゃべったけど、これでいいのだろうか?
このまま特攻していってクビになったり生活に困ることになったらどうする?



「…ま、いいか。」


サクラは一日に何百通ものメールの相手をする。
いちいち一人の客のことで深く悩んでいられない。