GO | けいパパのブログ 短腸症候群×胆道閉鎖症の愛息子を支える家族の生体肝移植奮闘記

けいパパのブログ 短腸症候群×胆道閉鎖症の愛息子を支える家族の生体肝移植奮闘記

短腸症候群×胆道閉鎖症の愛息子を支える家族の生体肝移植奮闘記


緊急で開催してもらった院内移植適応委員会の結果、妻をドナーとした息子の肝移植にGOが出た。

ここまで漕ぎ着けるのに人一倍苦労をしたこともあってか、手術の心配よりも、手術を行えることに対する喜びと安心感が胸に広がっていた。

とは言え、実はまだ息子の手術を行えることが最終決定したわけではなかった。

残された関門は大きく分けて以下の三つ。

①息子・妻が良い状態で手術日を迎えること
→肝移植はレシピエント・ドナー共に全身状態が良くないと行えない。息子は肝硬変がかなり進んでいることから、腹水が溜まっているし、いつ静脈瘤によって吐血したり、胆管炎になって発熱したりするか分からない状態である。実際、転院後に腸炎(肝硬変の進行→肝臓への血流の悪化→門脈(腸から肝臓に繋がる血管)圧の上昇→腸付近の血管における血液のうっ滞→腸のむくみ→腸炎リスクの上昇)により38℃超の発熱を経験しており、再度同じようなことが起こってしまった場合は手術を延期せざるを得ない。他方の妻は元気であったが、息子が胆道閉鎖症の診断を受けて以降の心身への負担は大変なものであった。ドナーを擁立できたことで安心した途端に体調を崩す、等ということがあってはならないので手洗い・うがい・マスクは必須である。

②息子・妻のHLA(ヒト白血球抗体)が不適合とならないこと
→HLAとはヒト白血球抗体のことで、その人の免疫のタイプを表す。これが一致していると拒絶反応が比較的起こりにくく、不一致だと拒絶反応が比較的起こりやすいとされている。皮膚や骨髄、腎臓の移植と異なり、肝移植においてはHLAが不一致であっても術後経過に目立った悪影響は認められていないため、HLAが不一致でも肝移植自体は可能である。しかし、ドナーとレシピエントのHLAが特定の組み合わせとなってしまった場合は移植ができないこともあるとのこと。しかし、HLAの組み合わせにより移植不可となる可能性は低い上に、移植するまではHLA検査の費用(約50,000円)が保険適用外で実費負担となることから、全てのドナー検査をパスした後のタイミングでHLA検査を受けることが通例である。

③妻の肝生検の結果が問題ないこと
→これまた可能性は極めて限定的だが、肝移植ができることは手術が開始してしばらくしないと確定しない。手術開始後、ドナーに対して肝生検を実施し、実際に移植しようとしている肝臓の一部を顕微鏡で確認して、問題が認められなかったことをもって肝移植の実施が確定するからである。それまでのドナー検査で肝臓の異常が疑われていなければほぼ間違いなく肝生検も問題ないらしいが、妻はALP・AMY高値が指摘され一時は肝機能異常が疑われた経緯があり、一抹の不安が付きまとった。

以上全てが突破できれば息子と一緒に生体肝移植に挑むことができる。