ドル円は年度末95円から来年度90円に進む | シカゴファンドの投資戦略

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外資系証券、外資系銀行で長年、辣腕ディラー、トレーダ、ファンドマネジャーとして活躍。日経225先物、オプション、e-ワラント、為替、国内外株、債券、商品先物などの動きを分析し投資を行っている。http://blog.livedoor.jp/chicago555/

ドル円は年度末95円、来年度90円に進む
「緩和=通貨安」の鮮度失い来年も円高警戒
三菱東京UFJ銀行 チーフアナリスト
マイナス金利政策のメリットより、副作用に対する不安感がかえって高まった

東洋経済
日銀が今後、マイナス金利をさらに深掘り(マイナスの金利幅を拡大)する場合に、長期国債の買い入れの柔軟化(減額)によって、期国債の買い入れの柔軟化(減額)によって、イールドカーブのスティープ化(短期金利と長期金利の差が大きくなること)を図る可能性が高い。もちろん、緩和姿勢の後退と映ることを避けるため、長期国債の買い入れを減額する一方、短期から中期の国債買い入れを増やし、全体としての国債買い入れ額は概ね維持するだろう
●イールドカーブの形状をコントロールすることは容易ではないと考えられる
●長期金利の決定要因は、需給のほか、海外債券市場の動向、期待潜在成長率、期待インフレ率、そして財政のリスクプレミアムが複雑に絡み合うためだ
●今まで以上のスピードで償還を迎える国債が増えるため国債買い入れ額を維持することも難しい
●日米ともに潜在成長率が下がり自然利子率(景気を熱しも冷ましもしない金利)が下がっている可能性
●仮にその自然利子率が下がっているとすれば、実質金利との差が縮小し、景気浮揚効果が弱まっている可能性がある
●予想物価上昇率がゼロ近辺のため、実質金利はそれほど下がらない
●実質金利を下げるために、マイナス金利(名目金利)の深掘りという政策をとる可能性が高い
●金融緩和効果が薄れている理由は金融緩和にそもそも賞味期限があるためだ。金融緩和は生産性を高めるわけではなくあくまでも通貨安という追い風を利用した景気浮揚のきっかけになるとの側面が強い
●ドルは新興国通貨などに対しては一定の強さを維持しよう。しかし、経常黒字国通貨である円に対しては、上昇するのは難しく、次第に下落圧力が強まるだろう

●米国の景気拡大は8年目に突入しており、ピークに達した可能性を疑う必要がある
●「労働市場情勢指数」(LMCI)も2016年に入って、1月から6月および8月分がマイナスになるなど、労働●市場の改善も既に大きくペースダウンしているとみられる
●米経済は時間の経過とともに、景気拡大ペースが鈍り、さらに経済指標が悪化する可能性がある
●トランプ政権が誕生した場合、政策の不連続性が警戒され12月も利上げどころではなくなる懸念がある
●9月利上げはほとんど見込まれていないため、仮に9月に実施されれば、米国の株式相場などが値崩れを起こしてしまい、円高圧力が高まろう。
●利上げは困難か、あってもあと一回で、来年にかけて打ち止めとなる可能性が高い
●FRBによる年内一回あるかどうか程度の利上げや日銀のマイナス金利の深掘りがあっても、ドル安円高基調は変わらないだろう。いずれドル円は100円を割り、今年末~年度末にかけて、95円程度に達すると予想している
●2017年はもう一段のドル安円高が進み、1ドル=90円前後の水準に絡んでいくとみている